不要不急の県境超えをやってきた。6月になって容認されたので大手を振って、といいたいところだが、実際は関所破りをするような緊張感があった。県外ナンバーを見とがめられ、石を投げられたらどうしよう、などと思うところがあった。
そんな気分を忘れさせてくれたのが、猿たちである。白布峠には猿の一団が野生するのだが、米沢側の峠下によく出没する一帯がある。いるかなあ、と思いながら走っていると、先行する2台が急停車した。道路の端に猿である。周囲の梢が揺れており、かなりの集団である。
前の車が去ったあと、路側帯に駐車して観察を続けた。するとこの集団はかなりの子どもを擁していた。1年子、2年子に加えて生れたばかりの乳児もいるようである。その数10頭以上も居そうである。それだけに母親は警戒心が強く、カメラを向けると姿を隠してしまう。もっとも小猿たちは、同じ年ごろの相手を見つけては車道の上で取っ組み合う。危ないなあ。
行き着いた漁港では、10年ぶりというイワシの群れの来港に人々が群がっていた。岸壁が、3メートルほどの距離を置くソーシャルデスタンス状態である。但し、マスクを付けているひとはほとんど居ないので、デスタンスは別のソーシャルな意味があるのかもしれない。
そのどれかの竿が絶えず振られ、上がり、イワシの白い腹が空中に舞う。早速竿をいれてみたところ、ミニ鯵に小かますがひっかかった。連中を放してやり、翌朝の再挑戦を試みることにした。
翌朝、4時過ぎにはもはや岸壁が人で埋まっていた。何とかすきまを見つけて4時間ほどで20尾以上を釣りあげた。素人の安物竿でもこの釣果である。なれた人なら、100匹はいくという釣具店主の話もまんざら嘘ではないだろう。ところが問題は、そんなに釣ってどうするというところにある。
持ち帰って早速食したが食いきれない。実は近くの鮮魚センターでうまそうな鯵があったのでひと箱購入してしまっていた。イワシが居るのに鯵まで加えてどうする、と反省したが後の祭りである。だって、本当に新鮮で美味そうだったのだ。そういうわけで、親族の3軒に配ってもまだ余ってしまう。残りは10尾ほどづつ一夜干しにして冷凍、南蛮漬けにした。今夜はまた魚尽くしである。あ、アマダイの昆布〆も作ってある。だって、余りに新鮮で美味そうで…。
ところで自粛は、というと、路上に県外ナンバーが結構あり、ツーリングバイクの集団も何群か走っていた。自粛の気分はいくらか弛緩しているようである。温泉では、関東から来たという爺さんに絡まれたりもした。酔っ払っているらしく、話が長く、くどいのである。
ところで彼は車で来て、一休みした後どこか安く泊まれるところをさがすという。完全に酔っ払い運転である。そこまでを見越してのことなのか、交通警察の姿がやけに目に付いた。帰途、高速を降りたときには、覆面パトカーに捕まっている車も目撃した。気が緩んでいるときこそ商売繁盛の絶好の機会、と発破をかけられているのかもしれない。お出かけの際には、どうかご安全に。
最上川源流の滝

