株の12月暴落説が囁かれる中、本日現在日経平均は500円超の上昇である。日本の株価なんて、トランプの気まぐれな発言によるニューヨーク市場の動向次第、ということである。もちろん、そのようにして暴落する、ということもあり得るわけだが。

 株価がとりあえずは堅調な中、今年度の補正予算と来年度の税制改正が明らかにされた。

 補正予算では、2兆円程度の税収減を補うために赤字国債を追加発行するという。共同通信は、世界経済減速によって法人税収入が4.6%も落ち込んだのが原因としているが、消費税増税の影響もあるのはいうまでもない。増税で景気を悪くして減収になるという、おばか政策の見本のような事態である。

 共同は、赤字国債が2兆円をどれだけ超えるのかを曖昧にしているが、2兆2297億円である。消費税増税1%あたりの増収はおよそ2兆5千億とされるから、ほぼ1%分が吹き飛んだということになる。5%からの増税時の「社会保障と税の一体改革」において、消費税増税分は全て社会保障に使うとしていたのだから、社会保障が後退するのではないか、今提言されている負担増の検討はそのせいなのか、と心配するかもしれないが、見当違いである。

 消費税の使途は、いつの間にか「社会保障の安定的財源確保」と言い換えられている。増税分が社会保障経費合計額に足りないのだから、安定とは財政の安定を含むことになるとすりかえられてしまっていた。だから、財政全体の見通しの中で、国債減額に使っても構わないとして、増税分のなんと8割は「財政再建」に使われてしまっていたのだ。10%増税でさらに国債減額をというのが真の狙いだったのだろうが、税収減で赤字国債を発行せざるを得なくなり、「財政崩壊」はむしろ加速した。この辺は京大の藤井聡が指摘している。

 それだけではない。国債償却のための財源を消費税に負わせることで、その分の一般財源の使途は自由になる。財布の中の仕切りごとの札の枚数を、臨時収入は国債償却と社会保障の仕切りに収め、それまでそこにあったお札は自由に使える仕切りの方に回そう、というようなものである。で、何に使っていたのかというと、企業と高所得者の減税である。この辺は「赤旗」がしつこく追求している。そしてその方針は、景気減速、税収落ち込みがはっきりしてきても変えるつもりはないらしい。

 税制改正では、NISA見直しやひとり親支援とかの煙幕が張られているが、その額は高が知れている。新しい企業減税が打ち出されているのだ。ベンチャー投資減税、5G優遇、電力課税方式の見直しなどである。いずれも大企業にしか関係がない。中でも、電力課税方式の見直しは、売上高課税から所得課税への質的変更が含まれている。つまり、一種売上税から所得税への変更であり、直接税から間接税へという政府の税制の看板に逆行している。使った分だけ全て課税するという国民に向けた顔と、儲けた分だけでいいから払ってねという電力会社に向けた顔とでは、まるきり違うものになっている。

 一連の動きによって、直接税から間接税へという税制変更の狙いは、企業負担を軽減し、その分を国民負担に肩代わりすることにあったのは今や明らかである。その挙句に景気を減速させ、財政悪化を促進している。日本を破壊していると言ってもよい。かつて、東大の二次試験の記述式はすごいと感嘆している高校教師がいた。しかし、東大でみがいた文章力の使い道は、増税目的に「安定的」という言葉が入っているから社会保障に全部使わなくても構わないのだという、財務省のアリバイを工作することくらいなのである。おバカなペテン師どもとしか言いようがない。