世は「イスラム国」の蛮行に大騒ぎである。
NHKを観ていると、
「テロに屈せず」その罪に「罰を与える」ため、
今すぐ二丁拳銃をぶら下げてシリアに駆けつけるべきだ、という気になってくる。
しかしそれは、日本人の安全の確保や、「テロに屈しない」国家姿勢の貫徹を意味しない。
以前に書いたように、
主権国家単位の国際社会では、
他国において、日本が思いのまま権力を行使することはできない。
たとえ、武力行使が許されたとしても迅速、的確に対処することなどできない。
見ず知らずの土地で、交流困難な人々を対手としながらの作戦となるのだ。
いきり立って見せても、できることはほとんどない。
相手国の主権を尊重し、その対応に委ねるしかない。
それが「現実」だ。
混乱を深めただけのアメリカの失敗をみれば、歴然としている。
日本人の安全のためにもっとも有効な対策は、
現地警察力向上のために、技術的、金銭的な支援をすることだろう。
警官の給料を倍にするだけで、治安は劇的に改善されるに違いない。
しかしそのような「目に見えない」「やわな」対応をやるつもりは政府にはない。
なぜなら、実は一般大衆の安全などどうでもよく、
その悲劇を踏み台にして、自衛隊派遣の口実の積み重ねるこそが狙いだからだ。
政府がやりたいのは国民の安全ではなく、
自衛隊員、国民の安全と引き換えに入手する軍事的、外向的発言力の強化である。
そのために、NHKなどのジャーナリズムに煽らせる。
効果てきめんで、国民の鼻息が荒くなるのは実に好都合なのである。
「イスラム国」は、
国をこそ名乗っているが、
その統治に同意する国民を欠いており、国ではない。
どのような卑劣な方法を用いても敵を殺しても良いとする点において、
オウムと同じ暴力集団である。
国内において、オウムの残存勢力が根絶できていないように、
どのような手法を用いたとしても、「イスラム国」的な集団を消滅させることは不可能である。
冷静に考えれば、
世界にはそのように暴力的な個人、組織が横溢、蔓延している。
これだけ日本人が外国に出ていくようになった以上、
悲劇多発は避けられない。
それだけのことである。
嫌なら国内に引きこもるしかない。
刺激的な映像を伴う事件が生じたので今は皆が興奮しているが、
日揮の社員が10人も殺された事件など、既に忘却の彼方である。