日本紅斑熱、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、およびデング熱は、それぞれ異なる病原体によって引き起こされる感染症ですが、いくつかの症状が重なるため、鑑別診断が重要です。以下にそれぞれの特徴を挙げます。
### 日本紅斑熱 (Japanese spotted fever)
- **病原体**: リケッチア属のRickettsia japonica
- **媒介動物**: マダニ
- **潜伏期間**: 2〜8日
- **主な症状**:
- 高熱
- 発疹(体幹部から四肢に広がる)
- 頭痛
- 筋肉痛
- 刺し傷やダニ刺され部位の瘢痕
- **診断**:
- 血清学的検査
- PCR検査
### SFTS (Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)
- **病原体**: SFTSウイルス(ブニヤウイルス科フレボウイルス属)
- **媒介動物**: マダニ
- **潜伏期間**: 6〜14日
- **主な症状**:
- 高熱
- 消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)
- 頭痛
- 筋肉痛
- 血小板減少
- 白血球減少
- 肝機能障害
- **診断**:
- 血清学的検査
- PCR検査
### デング熱 (Dengue fever)
- **病原体**: デングウイルス(フラビウイルス科)
- **媒介動物**: ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ
- **潜伏期間**: 3〜14日
- **主な症状**:
- 高熱
- 激しい頭痛(特に目の後ろ)
- 筋肉痛、関節痛(「骨折熱」とも呼ばれる)
- 発疹(2〜5日目に出現)
- 軽度の出血症状(歯茎からの出血、鼻血)
- **診断**:
- 血清学的検査
- PCR検査
### 鑑別のポイント
1. **媒介動物**:
- マダニが媒介する感染症(日本紅斑熱、SFTS)と蚊が媒介する感染症(デング熱)をまず区別します。
2. **症状の特徴**:
- 発疹のパターンや出現部位:日本紅斑熱は体幹から四肢に広がる発疹が特徴です。
- 消化器症状と血小板減少:SFTSは消化器症状と血小板減少が顕著です。
- 頭痛と筋肉痛:デング熱は特に目の後ろの激しい頭痛と「骨折熱」と呼ばれるほどの筋肉痛・関節痛が特徴です。
3. **地域と季節**:
- それぞれの病気は特定の地域や季節に多発するため、患者の旅行歴や居住地域も重要な情報となります。
これらの情報を元に、臨床医は適切な検査を行い、正確な診断を行うことが求められます。