静かだった反動なのか、それとも時代の節目なのか

最近まで、不思議なくらい有名人の訃報を耳にする機会が減っていた気がしていた。 もちろん実際には亡くなられている方もいたのだろうが、かつてのような「立て続け」という空気は薄れていたように感じる。

ところがここへ来て、少し空気が変わってきたように思う。

ある有名人は「打つ手なしで緩和ケアに入る」と語り、 別の有名人の記事には「がん」「糖尿病」「脳梗塞」「心筋梗塞」といった言葉が並ぶ。 それも、一人や二人ではない。

もちろん、人は誰しも歳を重ねる。 有名人も例外ではない。 かつてテレビで元気に走り回っていた人たちも、今では70代、80代に差しかかっている。 冷静に考えれば、ごく自然なことなのかもしれない。

ただ、それでも感じるのである。 「静かな期間」が終わりつつあるのではないか、と。

昭和から平成にかけて第一線を走り続けた世代が、 いよいよ人生の晩年に差しかかっている。 医療が進歩して寿命は延びたが、 人間の身体そのものが永遠に若返るわけではない。

むしろ現代は、 命を長くつなぐことはできても、 完全に元通りにすることが難しい時代でもある。

「緩和ケア」という言葉が、 以前よりずっと身近に感じられるようになった。

そして、有名人の病気や訃報は、 単なる芸能ニュースでは終わらない。 どこかで、自分自身の未来や、 親世代、自分たち世代の老いを重ね合わせてしまう。

若い頃には遠い世界の話だったものが、 少しずつ現実味を帯びてくる。 それが40代、50代という年代なのかもしれない。

もちろん、不安ばかりを抱えても仕方がない。 健康に気をつけ、 睡眠をとり、 歩き、 食べ過ぎず、 日々を積み重ねるしかない。

だが一方で、 「人は必ず衰える」という現実から、 完全に目を背けることもできない。

だからこそ最近は、 有名人の病気のニュースを見るたびに、 単なる他人事ではなく、 時代全体の空気の変化のようなものを感じるのである。

ここから先、 有名人の訃報は再び増えていくのかもしれない。

それは決して特別な異変ではなく、 一つの世代が静かに年齢を重ねていった結果なのだろう。

そして私たち自身もまた、 その流れの外側にはいないのである。