7DAYS' STORY
初ブログだから、来てくれる人が少ないです。誰か一度来て~。
Amebaでブログを始めよう!

おたくな友達 5th

家に帰って、かばんをほうり投げ、制服のままベットの上に寝転んだ。華恵は、私の前で、あの日泣いた。確かに泣いた。初めて、華恵の涙を見たんだ。忘れられるわけがない。なのに、華恵はおばさんの前で泣かなかった。頭が錆び付いたみたいに、上手く動かない。華恵は泣いた。でも、おばさんは知らなかった。でも、華恵は泣いた。でも、おばさんは知らなかった。でも…。
なぜか、華恵に意地悪をしていたことが、悔やまれて悔やまれて仕方なかった。華恵、ごめん。本当にごめん。

おたくな友達 4th

秋恵ちゃんが…死んだ…?はは、うそでしょ…?
「これから通夜なの…。昨日…、お姉ちゃん、事故したの遅かったから…。」
華恵が少し引くなった声で、冷静を装って言った。
「…事故……?」
「お姉ちゃん、彼氏と一緒に車に乗ってたんだって…。…彼氏は助かったらしいんだけど、お姉ちゃんは……。私も、事故現場には行かせてもらえなかったから、よく知らないの……。」
もう十分だった。
秋恵ちゃんの通夜と葬式に、急遽参加させてもらった。秋恵ちゃんの中学校や高校のときの同級生や大学での友達が、たくさん来ていた。親族の席で華恵は、泣きもせず、顔をずっと上げたまま、ただただ一点を見ていた。私にも分かった…華恵が、ずっと見ていたのは、秋恵ちゃんの写真だった。秋恵ちゃんが死んだ。
秋恵ちゃんの葬儀から1週間くらいが過ぎた。華恵は相変わらず、明るくて、華恵のお姉ちゃんが死んだということに、クラスの誰もが気付かなかった。私は華恵に意地悪をしなくなっていた。同情とかじゃなくて、本当にイライラすることが無くなった。
「あら、麗緒ちゃん。」
学校からの帰り道に、華恵のおばさんに会った。買い物帰りらしく、自転車のかごには白のビニール袋が二つ乗っていて、そこから大根がのぞいていた。
「こないだは、ありがとね~。」
「いえ…。」
おばさんは、妙に、にこにこしていた。
「でもね、おばちゃん、華恵には驚いたのよ~。」
おばさんが唐突に話し始めた。
「あの子、事故があったことや、お姉ちゃんが死んだってことが分かった時も、一度も泣かなったのよ。もちろん、葬儀の間もね。なんだか、こっちが励まされてきちゃって…。」
え………華恵が…泣かなかった………?

おたくな友達 3rd

ガキの予想した通り、次の日、華恵が学校を休んだ。
華恵の馬鹿。またガキらに笑いものにされるだけじゃん。
「今日、塾8時からでしょ?」
放課後になって、塾が一緒のバカ子に聞かれた。
「うん、そうだよ。」
出来るだけの笑顔を作って、答えた。
なんか疲れる。よし、華恵に授業のプリントでも、持って行ってやるか。華恵の家は、私の家までの帰り道にある。意地の悪いことばかりしてしまうけど、こういうところは、ほっとけない。
ピンポーン
インターフォンの後に、パタパタという足音がして、玄関の扉が開いた。そこには、制服を着た華恵がいた。
「華恵?」
「麗緒、どうしたん?」
私の言ったことが聞こえていなかったかのように、いつものように笑顔で聞いてきた。
「いや、授業のプリント渡しとこうと思って…。」
「あっ、そうなの?ありがとう。明日でも、良かったのに。」
やっぱり、いつもと同じように、笑ってる。ただ、いつも以上に私の顔を見ない。しばらく沈黙があった。華恵はずっと、少しだけ下を向いたままだった。
「麗緒…。」
はっとした。華恵が突然、ぽろぽろ涙を流し始めた。
「ちょっと、華恵?どうしたん?」
「お姉ちゃんが………昨日…昨日……。」
「お姉ちゃんって、秋恵ちゃん?」
秋恵ちゃんは、中2の時から、編み物を教えてもらったりして、仲が良かった。いろいろ面倒見てもらった。
華恵は、少しうなずいた。「え?秋恵ちゃんが、どうしたん?」
華恵は一度も涙を拭かなかった。
「……お姉ちゃん………死んだ…。」