夫が

正式に退職して

家にいる時間が多くなった。



「24時間たたかえますか」

の時代を生きてきた夫には

何もすることがない、

追いたてるものがない

という日々は

かえって

ストレスフルなのだろうと思う。


幾ばくかの仕事はするとしても

ゆったり過ごす、

という時間もいいんじゃないの?

と話すと

「そうやな…」

とは言うものの

長年の習慣は

そうそう変えられるものでもない。


急ぐ必要もないことを

やり急いでいるように見えて

とても

せわしない。


そこで

コーヒーでも飲みに行こうよ


と誘って

スマホで検索したお店に

行ってみた。


そこは

隠れ家的なカフェで

こだわりのあるマスターが

徹底的にこだわった

食材とコーヒーのあるお店。

一歩間違うと

居心地が針のムシロかも知れないお店。


そこに

行ってみた。

(まぁ、よく冒険したわね)


さほど広くない店内には

静かなBGMが流れていて

数人の先客が

文庫本を広げたり

静かにおしゃべりしたり

おもいおもいにくつろいでいる様子。


幸運なことに

窓際のカウンター席が空いていたので

並んですわると

程なく

お水が運ばれてきた。

白磁のカップに冷たいお水

これが

とても美味しい!

(こだわりの天然水かしらね?)

なんて

夫とボソボソ。


ランチタイムだったので

パスタとコーヒーのセットを注文して

30分くらいかなぁ。

それくらい待って

出てきたパスタは

今まで食べたことのない

お味のパスタでした。

シンプルな食材の

旨味が最大限にひきだされている

というか。

オリーブオイルが

美味しくて

つい

スプーンですくって食べたほど。


食後のコーヒーは

大ぶりの陶器にたっぷりと

入っていて

コクがあるのに

さらさらと飲める…

という

こちらも

不思議な飲みごこち。


窓の外に

揺れる新緑の木々を眺めながら

ぼんやりと過ごす。

なんだか

あれは現実だったのかな?

もしかしたら

夢だったのかも、

と思う時間だった。


世の中には

たくさんのカフェがあって

店主さん

それぞれ

色々な思いがあって

お店をやっているんだなぁ。


おおげさかも、

だけど

ちょっと世界が広がったような

気がする。