認知症になってしまったらしいシャム。
心がまるでどこか遠くに行ってしまったようだ。
症状の進行を遅らせるために、
脳の刺激になりそうなことを試そうと思っている。
まず、猫じゃらしを振ってみたが、
まったく無反応だった。
もともと猫じゃらしはあまり好きではなかったが‥‥。
シャムは膝に乗るのも、本来は好きではない。
去年からひざに乗ってくるようになったのは、
もしかしたら認知症による異常行動の
一部だったかもしれない。
シャムが元気なとき、甘えてくる
唯一の場所はベッドの中だった。
シャムを抱きかかえてベッドに入り、
話しかけてみようとした。
すると突然シャムはのどを鳴らし始めた。
飛び上がるほど嬉しかったが、
残念なことに、心が通い合う感じがない。
むしろ、昔の習慣で音が出ただけのようでもある。
シャムの背中をゆっくり撫でながら、
いろんなことを話した。
シャムたちがはじめてうちに来たときのこと、
クロとトラニャの面倒を見てくれた感謝の気持ち、
その他、いろんなことを思いつくままに話した。
シャムは、じっとしている。
言葉として聞いているのか、
音が通り過ぎていっているだけなのか
はっきりと分からない。
シャム、忘れているようだから、
思い出させてあげよう。
君は立派な猫だ。
とっても強いのに、
その力は自分を押し通すために
使うことなく、
弱い子を守るために使い、
甘える機会は他の子に譲ったね。
わたしは君を尊敬してるんだよ。
シャム、わたしのことがもう
誰だか分からないみたいだけど、
それならまた初めから知り合いになり、
仲良くなるといいね。
きっとできると思う。
ぼくたちは、すごく相性が良かったんだよ。