シャムが一時ボス猫の座を退いていたあいだ、
彼はベッドでわたしに甘えることだけは譲らなかった。
それが、心ならずもボス猫に復帰してからは、
ベッドでもクロに譲るようになった。
上に立つ者の務めは、下の者が居心地よくできるように
することだと考えているかのように。
そんな彼も、時々は甘えたくなるようだった。
そぶりでそれと分かった。
ベッドでわたしの横に来るクロに譲って、
自分は足元に引き下がるけど、
わたしの足首にちょこんとあごを乗せたりする。
そういうときは、わたしがシャムを呼ぶことにした。
そうすると、少しためらってからシャムはやってきて、
わたしの腕を抱え込んであごをうずめたものだ。
シャム、甘えていいんだよ。
いつも譲らなくったっていいんだよ。
クロはクロでちゃんと可愛がるから。
君が気をつかわなくていいんだよ。
そう何度も言い聞かせているうちに、
だんだんシャムは率直に甘えるようになってきた。
今は、クロがちょっと遠慮することでバランスが
とれている。
ベッドはシャムの指定席。
ふだんはシャムがわたしの顔の前に陣取る。
でも、2,3日にいっぺんくらいかな、
クロが甘えたくなってベッドに来たときは、
シャムはクロに譲る。
ただ、たまに譲らず私にくっついていようとする。
シャムは前よりわがままになったかもしれない。
けど、それでいい。