犬と猫は、体の仕組みから言うとよく似ている。
しかし、人間とつきあう上で重要な精神構造は、
根本的に異なっている。
それは、獲物の捕り方の相違に由来するそうだ。
犬(の先祖のオオカミ)は、群れを作って狩りをする。
狩りでは、リーダーの指示に従って行動しなければならず、
役割の分担もある。
だから、犬は上下関係が理解できるし、敏感だ。
協力しないと生きていけなかったからである。
猫は単独で狩りをする。
他からの指示は受けないし、リーダーもいない。
成功も失敗もすべて自分しだいだ。
だから、猫には上下関係というものが理解しがたい。
そんなものと無縁に生きてきたからである。
両者の違いは、ペット化することによって弱まった。
飼い犬も、飼い猫も、もう生きるために
自分でエサを取る必要がない。
猫は本来単独で生きる生き物だけれど、
当然ながら子どもの時は母猫の世話になる。
ニャアと鳴けば人間からエサがもらえる状態は、
子猫の状態と同じで、その意味では、
飼い猫は一生おとなにならずにすごすのである。
早めに避妊・去勢手術をした猫は、
性的にも成熟しないことになる。
とはいえ、もともとの違いは、いろいろな場面で現れる。
たぶん、つきあっていく上でのいちばん大きな違いは、
呼んで来るかどうかであろう。
犬は呼んだら来る。
猫は呼んでも来ない。
犬を呼んで来ないとしたら、それは上位の者と
認められていないということで、
しつけに失敗している可能性が高いだろう。
猫は呼んでも来なくて当たり前。
うちの猫どもも、ほとんど来ない。
来るのは、たまたま猫が来たい気分だったときだけだ。
来て欲しくないときに限って来たりもする。
たとえば本や新聞を読むとき。
本を開くと、わざわざやってきて
どっかりとその上に寝そべるのである。
わたしは、ベッドに寝ころがって本を読むのが
好きだったのだが、猫が来て以来、
ほぼ不可能になって諦めた。
そう、猫は呼んでも来ないくせに、読んだら来るのである。