今回は、会社において情報を共有する重要性についてです。

 

当社でコンサルティングをするときには、会議体を中心にコンサルティング活動を行います。

 

経営者の方との会議だけではなく、現場の方との会議体も行います。

 

むしろ現場の方との会議体の方が重要かもしれません。

 

多くの中小企業では、現場の方に大切な情報を伝えていません。

 

会社のビジョンや、商品販売データなどなど。

 

その状況で、日々とりあえず与えられた業務をこなしているだけというのが実情です。

 

会社の存続の危機感や改善意欲は経営者のみで、他の従業員はとりあえず時間の切り売りをするだけという感じです。

 

これでは会社はよくなりません。

 

全員が会社の将来像をしっかりと認識し、同じ価値観で、共通言語(データをもとに話をする)で話をするためには、情報の共有が必須です。

 

 

■組織の3要素

組織の定義とはなんでしょうか?

 

人がたくさんいること?指揮命令があること?いろいろと浮かんでくるのではないでしょうか?

 

アメリカの経営学者であるバーナードという方が、組織の3要素は次の3つであると言っています。

 

 

①共通目標

 

②協働する意思

 

③コミュニケーション

 

 

これら3つを実現するためには、ビジョンなり、価値観なり、データなり共有することは必須となります。

 

しかし、多くの会社でこの3つのどれもできていないという状況になっています。

 

会社の方向性もなく、バラバラな価値観で働き、公式なコミュニケーションの場もない、という状況です。

 

 

 

■なぜ共有できないのか?

ではなぜ必要なことを共有できないのでしょうか?

 

いくつか理由はあると思いますが、以下の3つが大きな理由となっています。

 

 

①共有する重要性をわかっていない

まずは共有する重要性を経営者の方が理解をしていないため、共有をしていないという状況です。

 

「給料を払っているから働いて当然」と考えている方も多く、そもそも共有するという考えに至っていません。

 

またデメリットばかりを上げて共有することを拒むこともいらっしゃいます。

 

 

②共有できていると思っている

2つ目が共有できていると思っているということ。

 

自分の頭の中ではなんとなく会社の方向性などがはっきりしているが、明確な言葉や文章にしていないため周囲には伝わっていないという状況です。

 

なぜかこの状況で伝わっていると考えている方がいらっしゃいます。

 

 

③非公式に共有している

実際に従業員や幹部に伝えているが、非公式な会話の中で伝えているため従業員が本気だと思っていないこともあります。

 

伝えた時は「社長はそういう考えなのか」と理解をしても、その考えと反するような行為があると「やっぱりただ何となくいっただけか」となります。

 

実際にビジョンや理念などを浸透させるためにはしつこいくらいに伝えないといけません。

 

しつこいくらいに伝えて、ようやく一部に伝わりはじめる、ぐらいに思った方が良いでしょう。

 

ある経営者は事あるごとに自社のビジョンや理念や目指しているビジネスモデルを従業員に伝えていました。

 

「その話、何回も聞いたよ!」と周りは思ってしまうような状況です。

 

なぜここまで伝えるのかと尋ねたところ、「言ったことなんてほとんど伝わらない。10伝えて1も伝わらない。それであればしつこく繰り返し伝えるしかないでしょ?私も我ながらしつこすぎるかなと思ってしまうんだけどね」とおっしゃっていました。

 

 

 

共有するメリット

ビジョンや経営データを共有するメリットは計り知れません。
 
たくさんありますが、3つほどご紹介します。
 
 

①意思決定の基準になる

まずはビジョンや理念の共有について。
 
会社の進むべき方向性や価値観が明確になることによって、意思決定の際の基準になります。
 
ある仕事をするかどうか迷ったときに「この仕事はビジョンにつながるか?理念に合致するか?」と考えることによって意思決定をすることができます。
 
例えば、ある食品を販売している会社が、「お客様のために在庫をたくさん持つこと」と「常に鮮度の高い商品を提供するために在庫は減らす」という2択に迫られたとします。
 
全社は営業職の人が多く持ちがちな発想で、後者は製造に携わっている方が持ちがちな発想です。
 
どちらも間違いではないでしょう。
 
このように正しいか、正しくないかだけでは判断ができないことが経営上の判断ではしばしば起こります。
 
しかし、この会社の価値観が「最高の品質」という趣旨で明確であれば、後者を選択することになります。
 
このようにビジョンや理念は社員の自発的な意思決定を促すのです。
 
 

②自発性が生まれる

次に自発性です。
 
中小企業経営者の方から、「うちの社員は自発性がない。もっと自分で考えて動いてほしい」という愚痴を聞くことがあります。
 
しかし、会社のビジョンや経営的な状況を共有していないのであれば、従業員の方は自発性を発揮することはできません。
 
ビジョンを伝えれば、「当社のビジョンを実現するためにはこれが必要!」とか、現在の財務の状況を伝えれば、「もう10%粗利を確保するために単価アップの施策が必要!」など考えることができるようになります。
 
 
 

③論理的に意思決定ができる

最後に論理的な意思決定ができるようになるということです。
 
ある会社での会議に参加した時ことです。
 
その会社では、売上データなどは用意をせず会議を行っていました。
 
議題は「どうすれば売上アップができるか?」です。
 
なかなか意見が活発にはでてきません。
 
当然です。
 
みんな感覚的にしか売上の内訳や利益率をつかんでいないので、何を言ったらいいのかわからないからです。
 
最終的には、その会社での実力者が独断と偏見で意見を述べてその施策が実施されることになりました。
 
データを元に会議をしないとこのように声の大きな人の意見にひっぱられてしまいます。
 
データがあれば、「Aという商品の販売が落ちている」「Bの利益率が高いし継続的に伸長している」など事実をもとに意見を述べることができます。
 
事実を元に会議をするため、根本的におかしな意見はでにくくなります。
 
データの蓄積は簡単ではありません。
 
しかし、日々蓄積を重ねることによって、強い会社になっていくのです。
 
 
 
 
共有することに恐怖を感じる方もいるでしょう。
 
あなたが一人や家族だけで行っていく会社であればそれでもいいでしょう。
 
しかし、他人を巻き込んで良い会社を作っていくのであれば、「共有する」ということははずすことができません。
 
少しずつ改善を重ねていきましょう。