報道によるとタグリッソのメーカー「アストラセネガ」が2016年3月から2018年8月までの全使用例を調査し、3578人の内52人が亡くなっていたと発表した。そのうち27人が間質性肺疾患という副作用によるものである。昨年9月からタグリッソを服用している私のデータは含まれていない。オプジーボ治療後のタグリッソ服用はリスクが2倍以上ということだ。
 
さてがん治療薬はいずれも重大な副作用として間質性肺疾患があり死亡率が高い。一時問題になったイレッサの死亡例が多かった(と誤解された)のもこの副作用によるものと思われる。私がタグリッソの前にジオトリフを服用していた時軽い肺炎のような症状になったことがあり、即日入院となったのも間質性肺疾患を恐れたからである。結局通常の肺炎と分かって事なきを得た。
 
間質性肺疾患のほかにすぐに死にそうな副作用は少ない。だから52人の内25人は、効かなくて死んだか、体力がなくて死んだものと思われる。特にオプジーボの後でタグリッソを使用した者にはそういう傾向があるはずだ。私の主治医は治療開始時にオプジーボを先に使うとほかの薬が効かなくなる恐れがあると説明した。オプジーボが効かなかったのでタグリッソを使ったのなら、それは既に末期になっていたのかもしれない。
 
承認時の(治験に基づく)間質性肺疾患の発症率は3.6%、今回データの間質性疾患を伴う死亡率は0.8%・・・これをもってリスクが高まったのかは分からない。発症率が不変だとすれば発症者のおよそ10人に2人が死亡している。早期に治療すれば治癒率は高まるし、オプジーボ適用前ならさらに死亡率は下がるだろう。
 
つまり「52人も死んだ」という風に取られかねない報道のしかたは問題なのだ。知識の乏しい人(患者や家族)を不安に陥れるから・・・