京都大学の本庶佑特別教授がノーベル医学・生理学賞を受賞する。免疫学の専門家である本庶氏の基礎研究はオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬の開発につながり、がん治療の分野において画期的な貢献を成してきた。
 
本ブログでもオプジーボなどの免疫CP阻害薬について(第96回、第100回などで)何回か取り上げてきた。もう一度復習してみよう。
テレビの解説などでは、「がん細胞が免疫細胞のブレーキをかける作用があるのに対して、ブレーキを解除する(利かなくする)のが免疫CP阻害薬である」とされる。日本で承認されているものとしては、いずれも商品名でオプジーボ(2014年)、キイトルーダ(2017年)、テセントリク(2018年)の3種類でさらに複数の開発が進められている。
オプジーボとキイトルーダは抗PD-1抗体薬に分類され、テセントリクは抗PD-L1抗体薬に分類される。免疫細胞のPD-1とがん細胞のPD-L1が結合することによって免疫細胞が無力化されるのを防ぐため、PD-1もしくはPD-L1のいずれに「蓋をする」か、すなわちどちらを標的にするかによって分類が分かれる。
 
オプジーボなどは肺がんに効くと言われるが、誰にも効くわけではない。6:4くらいだとも言われる。効く人は劇的に改善されるが、効かない人は全くと言ってよいほど効かないのだ。オプジーボやキイトルーダはPD-Li発現の陽性率(よくわからん)が1%未満では効かないというのだ。私の場合主治医に聞いたところによると1%未満らしい。しかし今年承認されたばかりのテセントリクは1%未満でも効くらしいのだ。この薬が適用されるにはまだまだいくつか条件があるらしく、私の場合にどうなるかはわからない。
 
今飲んでいるタグリッソが効かなくなって、プラチナ製剤でも効かなくなった時にテセントリクかな?
テセントリクの薬価は3週に1回625567円・・・年間1000万円台かな。オプジーボが来月から1000万円くらいに下がるらしいので、まぁそんなところかという感じ。
 
ノーベル賞の受賞で開発が促進され、適用範囲が広がって、対象者が増えれば価格も下がるだろう。
 
一番まずいことは世の中の未承認(というより承認を受ける気もない)免疫療法をやる医療機関が便乗的に増えそうだということだ。たとえば高濃度水素水入浴で免疫力を上げる・・・などの類である。「免疫療法」の大部分が未承認ないしはインチキであることを心しておかねばならない。保険もきかないし、効果の保証はまったくない・・・気休めに大金を払ってもよいという方はどうぞ(標準治療の併用をお忘れなく)!