いずれは使うことになるかもしれないプラチナ製剤について触れてみよう。名前は細胞分裂を止めることができるプラチナ化合物を使うことに由来する。細胞が増殖するには細胞分裂が必要で、それは言い換えるとDNAのコピーを作る必要がある。プラチナ化合物はがん細胞に結合してがんのDNAのコピーを阻止するのだ。しかしがん以外の増殖する細胞も攻撃するので脱毛などの副作用が現れやすい。
私のような非小細胞肺がんの場合、分子標的薬が第一優先となるがこれが使えない場合はプラチナ製剤の一種であるシスプラチン、カルボプラチンが標準的に使われる。
シスプラチン、カルボプラチンはいずれも骨髄抑制という副作用の恐れがある。いずれも腎臓障害を起こしやすいがカルボプラチンのほうが腎臓障害は軽いと言われる。骨髄は白血球・赤血球などの血液を作る造血器官である。造血もまた典型的な細胞の増殖である。骨髄抑制で白血球が減ったりすると抵抗力が著しく減退する。病室の隣人は白血球が少なすぎてシスプラチン投与ができないので退院と言われていた。おそらく初回の投与のために入院したのだろうに・・・退院と言えば普通はめでたいことだが、この場合は凶というより大凶に近い。分子標的薬が使えないのでプラチナ製剤にしようと思ったら、それも使えないというのだから・・。
シスプラチンの腎臓障害は結構大変らしい。点滴と一緒に大量の水を飲み(点滴?)、そのうえで利尿剤を使うというのだから・・・。高齢で腎臓関連の数値がちょっと怪しいあなたの場合は腎臓障害の軽いカルボプラチンになるでしょうと医師から説明された。
さて私は今回いいくじを引いたわけだが、まだ効果があるかどうかは確認されていない。そこでまたこれから病院に戻りしばらく入院生活が続く。ちょっと口内炎の副作用が出てきたし・・・