胸膜癒着と聞くと病名のようだが、治療法の名前だ。
肺を保護するための膜は二重になっていて、外側は壁側胸膜で内側は臓側胸膜と呼ばれる。構造的には2枚ではなく1枚が袋状になっていて、中に胸水がたまるようになっている。胸水は肺の運動に伴って生じる膜の摩擦を低減するための潤滑液であって、健康時には少量しか溜らない。これが何らかの肺の病気によってバランスが崩れて多くの胸水が溜り、肺を圧迫するため健康問題が生じる。胸膜にがんがある場合などは胸水にがん細胞が含まれて悪性胸水と呼ばれる。
 
私は今まで3回胸腔穿刺(ドレナージ)をやって各回1リットル前後を排出している。最初は悪性だったが、その後はがん細胞が確認されていない。
胸水が多くなると呼吸困難などが起こると言われているが、私の場合そのような症状を自覚したことはない。きっと溜る量が比較的少ないレベルでバランスされているのだ。だから主治医の判断も「念のため」的だった。1回目と3回目はがん細胞の検出が目的であり、2回目は私が要求したこともあって「まあやっておきましょう」的なものであった。
 
しかしドレナージがたび重なったり、呼吸困難などの症状が見られる場合は、胸膜癒着術という治療を施すのが標準になっていて、主治医は私の胸膜癒着術を視野に入れている。「胸膜癒着術というのはどうなんですか」という質問に対して「胸膜癒着術を検討している」「熱が出るなど体力がない人には難しい」という返事だったので、「元気な今の内がいいですよね」と言っておいた。
 
胸膜癒着術は、胸膜の間に薬剤を注入して炎症を起こし、炎症に伴う癒着を起こさせてデッドスペースをなくして胸水の増加を防止するという、なんとも乱暴な?方法である。つまり主治医はこの炎症に伴う発熱や疼痛を心配しているのだ。私の場合腰痛対策に消炎剤を服用しているが、これは逆効果になるので飲めないから、腰痛も起きるだろう。
 
今私は就寝後半になんとなく気分が悪くて目覚めてしまう日が多くなっている。起床すると全くなんともなくなる。これは胸水の移動によるものではないかとずっと疑っている。だから次回の診察では早めの胸膜癒着術をお願いしようと思う。