私はジオトリフという薬(20咫砲鯔萋鈹貍竧?僂靴討い襦これまでにも書いているがもう一度抗がん剤について整理しておこう。
 
抗がん剤は昔からある「増殖速度が比較的速い細胞」をターゲットとするものと、最近進歩が著しい「細胞の増殖や浸潤、転移などに関わるがん細胞特有の分子」をターゲットとするものに分かれる。
前者には「汎用性」があるもののがん細胞以外をも攻撃するので脱毛・体力低下の副作用があり、後者は特定の遺伝子変異が対象なのでやや汎用性に欠け、脱毛などはないが特有の副作用がある(こともある)。私の服用しているジオトリフは後者すなわち分子標的薬の一種である。
 
分子標的薬はチロシンキナーゼ阻害薬とも言われる。私の場合はEGFR(上皮成長因子受容体)が遺伝子変異を起こしていて、これががん細胞急成長の原因になっているので、EGFR-TKI(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)が有効なのである。
EGFRに変異が起きると、がん化や浸潤・転移が促進されてしまう。EGFRチロシンキナーゼのリン酸化を阻害すると、がん細胞の増殖に必要な「シグナル伝達を遮断」することができ、がん細胞の増殖を抑制できるのだ。EGFR-TKIにはイレッサ、タルセバ、ジオトリフなどの商品が開発承認されている。ジオトリフは効果が不可逆であることから第二世代と言われているが、1年前後で薬剤耐性が出現するという点では他と変わらず治療の決め手になっているわけではない。
 
分子標的薬には上記の細胞分裂や増殖の過程で必要な信号の伝達を阻止する「シグナル伝達阻害薬」のほかに、がん細胞がき急激な成長のための栄養補給に必要は血管を作ることを阻止する「血管新生阻害薬」、増殖のプロセスである細胞周期の回転を止める(邪魔する)「細胞周期調節薬」があり、私の場合EGFR遺伝子変異検査が陽性だったので、ジオトリフを使用しているのだ。
 
薬剤耐性とはジオトリフの場合、EGFR遺伝子変異以外の遺伝子変異が優勢になった時に起きる問題である。そのときは該当する遺伝子変異に対応する分子標的薬ないしは汎用的な治療(オプジーボなどの免疫療法、一般的な抗がん剤、あるいは光免疫療法)に変えることになる。