星野仙一が膵がんで亡くなった・・71歳直前、私の2学年下だ。
倉敷商業エースから明治大学に進み中日に入団・・その後の活躍は誰もが知っている。
私の義父は高校で星野を教えたことがある(野球ではなく授業で)・・
大学でもプロ野球でもライバルだった・・・私は応援する側だけど・・・
 
膵がんは難しい病気だ。肺がんと比べて治療法のレベルは10数年遅れているかもしれない。初期で発見しにくいのは肺がんと似ているが・・・
 
彼が膵炎を患って検査する中で膵がんが見つかったのは2016年夏、そこから1年半の短い命だった。
 
膵がんの効果的な治療法は2010年ごろまでなかった。その後ゲムシタビンとエルロチニブの併用といった延命効果のある治療法が開発されたが、それでも生存率50%は7カ月程度である。2年でほぼ全員が死んでしまう。FOLFIRINOXという新薬が臨床試験中であり、生存率50%が11カ月程度と伸びるものの膵がん患者にとっての危険性(胆道感染、全身状態不良)があるため従来方法を置換するという位置づけではなく患者によって使い分けられている。そしてそれでも3年未満でほぼ全員が亡くなるのである。
 
エルロチニブ(商品名タルセバ)は肺がん治療にも用いられる分子標的薬である。EGFR遺伝子変異に対応する薬なのだが、それ以外のEGFR遺伝子変異に対応する薬(イレッサや私も飲んでいるジオトリフ)が承認されていないのはなぜだろう。実はエルロチニブはEGFR遺伝子変異との相関があまりないという説もあるのだ。つまり膵がんに的を絞った薬というより汎用的な薬なのだろう。EGFR遺伝子変異の膵がんはあるがマイナーである(肺腺がんではメジャー・・50%・・私は該当)

もっと明確な分子標的薬の開発が期待されているがまだ承認されたものはない。10数年前から主要な遺伝子変異に対して有効ないくつかの分子標的薬が使えるようになった肺がんに比べて、膵がんは今でも絶望的な病気なのだ。