12月16日に封切りされた「花筐 HANAGATAMI」の舞台挨拶で大林監督は「余命3カ月と言われ、1年4カ月も生き延びています。あと30年は生き延びて、映画を作ろうと思っている」とさらなる意欲を示したと伝わる。
今回の話は、「余命3カ月というのは彼の勘違いの賜物だ」ということ・・・
 
前回の記事で「現代の医師がステージ犬反巴任靴芯掌紊僕礁6か月(二日後に3カ月)などと言うはずがない」と書いたが、若干訂正する。
 
医師がステージ犬鯏舛┐浸?法大林監督は「いま大切な撮影中なので治療よりも撮影を優先させたい」と言ったのだろう。この手のわがままを言う芸能界の人間は多いそうだ(私の主治医の話)。これに対して「治療しなければ余命6か月ですよ」と言ったのだろう。それなら納得できる。
 
私が最近示した生存率曲線・・最初のものはまだ有効な治療法がなかった時代のものだ。これによれば肺がんステージ犬隆擬圓麓N迭始6か月後には半数が死ぬことを示している。つまり平均余命は6か月と言う時代があったのだ。これはあくまでも平均なので実績は0か月から18カ月に分布している。
 
もし大林監督が治療を拒否すれば、この曲線に乗るということも確かなので、「治療をしなければ余命6か月」というのは確かだ。それでも治療を渋る大林監督に「3カ月で死ぬことだって大いにありますよ」と、医師は説得したのであろう。
 
治療法の見極めや、副作用の様子を見るために入院は必須だが、病院から撮影に外出するなどの特例を得て、検査・治療と撮影を両立させたのだ。私も入院中に外出して講演会の講師をやった。
 
そして検査の結果、効果のある薬が見つかって(私の場合はジオトリフと言う分子標的薬だが彼の場合は何だか知らない)、この時点でおそらく平均余命は2年ほどに延びたはずだ。もちろんさらに余命が延びる可能性もある。
 
しかし舞台挨拶の時点でまだ16か月目だ。30年生き延びる保証など全くない・・これはあくまでも気合でしかない。強気の発言とは裏腹に彼の表情や歩く姿は、私よりずっと病人風であり。脳転移の可能性も高そうなので予断を許さない。あとは彼の気合と治療法の進歩ががん克服につながることを祈るのみだ。