先ごろ行われたマスターズ二日目タイガーのプレイと判定が話題になっている。しかし素人にはちょっと分かり難い。なぜ規則違反なのか、なぜ失格ではなく2打罰なのか?

普通、池ポチャの場合はハザードの境界を横切った地点の後方任意の地点(A)または元の場所(B)から1打罰で打つ・・というのは素人でもだいたいは知っている。最初にこのニュースを聞いたとき(A)と(B)は同じライン上だと思ったので、元の地点より2ヤード下がって打ったのは問題ないはずだと思った。しかしホールアウト後の(TV視聴者からの指摘に基く)最終判定は「誤所からのプレイ」で2打罰が付加されトリプルボギーとなったのだ。

このニュースで分かり難かったのは、(A)と(B)の問題だ。テレビや新聞はそこのところを詳しく報道しないので視聴者に誤解を与えた。

実は元のショットはポールを直撃してグリーンに落ち、左手前に転がって池に落ちたのだ。つまり(A)と(B)は同じ線上になかった。タイガーは(A)と(B)を混同したのだ。さらに近くにいた競技委員もタイガーの処置に同意したらしい。

本来はピンポイントで元の位置付近にドロップするか、ハザードを横切った地点の後方、すなわちピンから斜め左に延びる線上にドロップしなければならなかったのだ。

さらに混乱する原因は特別なローカルルールで、このホールには池ポチャの際のドロップエリアが指定されていたのだ。おそらく斜め左の線上には適切なポイントがなくて、タイガーはドロップエリアから打とうとそこに向かった。ところがそこは湿っていて好ましいポイントではなかった。タイガーは元の場所から打つことを選択したのだが、その際2ヤード後にドロップしたのだ。前のショットと同じショットでべたピンになることを計算して・・・。これが真相で、よく聞けば明らかに規則違反だ。

ではなぜ失格にならなかったのか? それはプレイの際近くにいた競技委員が認めてしまったことが大きな要因になっている。そのほかにも「テレビ中継映像を見て指摘される違反行為に関してはカメラがつくプレイヤーとつかないプレイヤーで差別扱いになる」ので厳しく処罰しないこともあるという前例に基いているのだ。しかしタイガーという人気者・実力者だから、こんな大きな話題になったのだろう。

いずれにせよ、マスコミはもっと丁寧に説明してもらいたいものだ。