今夜のNHKニュースで「踏み台」という言葉を聞いた。10年以上前にIT業界に身を置いていたときに新鮮な思いで聞いていた言葉で、懐かしい思いがした。
関西で発生してる「他人のパソコンを乗っ取って、その人のふりをして神社、空港などに爆弾を仕掛けたと脅迫する事件」の報道だ。

IT用語辞典によれば「踏み台」とは「管理者が気づかないうちに第三者に乗っ取られ不正アクセスや迷惑メール配信の中継地点に利用されているコンピュータ」とある。

しかし変だと思わないか? 事件のことではなくて言葉の意味についてだが・・。

ITに詳しくない人なら「踏み台」と言えば、「ちょっと高いところにあるものを取ったりするための、数段以内のはしご状の台」を思い出すだろう。台に上っても二次元的な位置はほとんど変わっていないではないか・・・これでは存在をすぐに気づかれてしまうではないか。

実はIT用語の「踏み台」は「stepping stone」の和訳なのだ。普通の辞書で「stepping stone」を引くと、 崙Г濱弌廖嵌瑤喟弌廖↓⊂鎖覆覆匹諒? 手段・・・とあるのだ。「踏み台」ではない。一方、本来の「踏み台」に相当する英語は「stepladder」だ。

そしてIT業界の誰かが「stepping stone」を「踏み台」として誤訳して、いつの間にか定着してしまったのだ。今では「stepping stone=踏み台」とする英和辞典も和英辞典も現れるようになって、「誤訳が辞書を完全に乗っ取った」形になっているのだ。

「stepping stone=飛び石・踏み石」は離れたところに飛びながら到達するのだから「他者のパソコンを遠隔操作してまったく別の場所にメッセージを届ける」というIT犯罪の用語としてはぴったりなのだが・・。

確かに「AさんはBさんを踏み台にして出世した」という表現の場合、上記△琉嫐と混同しやすいね。こうやっていると、自分でもこんがらがってきたよ。