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節分が近づくと恵方巻の宣伝や番組が多くなる。私は20年前に大阪に勤務して初めて知った習慣だ。それより西の岡山に生まれたが、知らなかった。最近では関東でも誰もが知っている。

今年の恵方は北北東だと言われる。いつも西南西とか南南東とかで、ぴったり東西南北とか北東、南西ということもない。何でこんなに中途半端なのだろうと思って調べてみた。

図示したのはWikipediaからの拝借だが、この図で示されるように赤で塗られた方向が恵方なので、恵方は4種類しかないということになる。ちょうど東西南北からやや反時計回りにずれた方向である。実際には今年は北北西ではなく、それよりやや北寄りの「北微西」である。そしてこれは「東微北」→「西微南」→「南微東」→「北微西」→「南微東」と推移し、5年周期で変わるのだ。「南微東」が1回多いのは気になるね。これには結構めんどくさいルールがあるのだ。

まず恵方は歳徳神という女神のいる方向らしい。女神は十干の元になっている木、金、火、水の方向にいるらしい。木はおよそ東、金はおよそ西、火はおよそ南、水はおよそ北の方向を指す。おや・・一つ足りない・・・土があった。土は中央を指すので便宜的に南とされた。きのえ=木の兄=甲、かのえ=金の兄=庚、ひのえ=火の兄=丙、みずのえ=水の兄=壬、つちのえ=土の兄=戊・・・これらに東西南北が割り当てられた。十干の順に東→西→南→北→南(から少し反時計方向)と廻る。上記以外の年であるきのと=木の弟=乙、かのと=金の弟=辛、ひのと=火の弟=丁、みずのと=水の弟=癸、つちのと=土の弟=己の場合は、字面とは関係なく上記の5年周期が維持されるのだ。今年は十干十二支(えと=干支)で表現すると「壬辰(みずのえたつ)」だから恵方が「北微西」なのであり、来年の干支は「癸巳(みずのとみ)」で恵方は「南微東」になる。

なぜ北北西ではないのかと言うと、北北西という表現が西洋の16方位によるものであるのに対して、24方位で表現されるためなのだ。24方位は十二支で表される12方位をさらに倍に分割したものだ。子が真北で時計回りで丑→寅→・・・と続く。そして南東を示す巽(たつみ)が辰と巳の間に、南西を示す坤(ひつじさる)が未と申の間に、北西を表す乾(いぬい)が戌と亥の間に、北東を表す艮(うしとら)が丑と寅の間に入る。そして残る8方向に十干の内の8つが入るのだ。先に述べたように戊と己は土を意味する、すなわち中央を意味するので方位には用いられない。

こうして甲、庚、丙、壬が東西南北の反時計方向隣の方向に指定されたというわけだ。一応理屈は繋がってはいるけど、ややこしい話だね。大昔は北微西でも北北西でもなく、真北だったのでは?