極極超長波とは30ヘルツから300ヘルツの電磁波である。この帯域で代表的なものは商用電源である。商用電源は東日本で50ヘルツ、西日本で60ヘルツが使用されている。
電磁波は電界の変化と磁界の変化の合成で説明されるが、この程度の周波数では電界が人体に影響を及ぼすことは考えられない。30ヘルツなら波長が1万kmになる。2m程度の人体をアンテナと考えれば受信効率は非常に悪いからだ。
しかしこのような低周波の場合、むしろ磁界の変化が人体に影響を及ぼす。交流電流の流れているところには交流(変動)磁界が発生する。このような低周波における変動磁界の影響は高周波における変動電界の影響とは異なるものだが、順番でもあるので触れておこう。素人考えでは「血液中には鉄分が含まれるため、血流の集まる脳などが影響を受ける」のではないかと思う。

つまり交流電流の流れている近くにいると、電流が大きいほど、距離が近いほど大きい「電磁波被曝」をしていることになる。
健康被害の話題になりやすいのが、「送電線」「IH調理器」「電気毛布」「ドライヤー」などである。
送電線は大変大きな電流が流れるが通常は10m以上離れているので、他のものより磁界が大きいわけではない。数10Wの電気毛布や数100Wのドライヤーがなぜ話題になるかと言うと、距離が近いことが理由に挙げられる。ドライヤーは脳のすぐそばで使うからである。電気毛布の電流はたいしたことはないが、長時間密着して被曝するからである。

さて規制値はどうなっているのであろうか?ICNIRPのガイドラインによれば50ヘルツで100マイクロテスラという磁束密度が規定されている・・と言われてもさっぱり分かりませんね。
IH調理器の場合使用条件が30cm離れている場合としている。ある実験では実績値は約4マイクロテスラだったそうだ。しかし10cmでは10数マイクロテスラに上がり、密着するともっと上がる。IH調理器に顔を密着しないほうがいい・・・そんなことするか!?
なお送電線の場合電界も規制(地上1mで3kV/m)を受けるが、磁界は通常1~2マイクロテスラ、最大でも20マイクロテスラ程度でICNIRP規制値よりずっと低いらしい。磁界は電流によるが、電界は電圧によるので、高圧になればなるほど鉄塔を高くするのは電界への配慮だ。

しかし送電線を気にする人、電化製品を気にする人は結構(1%以下?)いる。それは今の規制値が信用できず安心できないと思っているからだ。
規制値以下でも「安心できない」人は高圧線に近寄らず、IH調理器や電気毛布は使わず、そのほか冷蔵庫などにもあまり近づかないほうがいい。
因みに我が家はすぐそば(見上げる位置)を複数の高圧電線が走っており、IH調理器も電気毛布も使っている。別にやめる気はないけどね・・。