福島の第一、第二原発周辺の住民は今大変な思いで避難生活を続けている。
私は10数年前の三宅島雄山の噴火に伴う全島避難のことを思い出した。
この似ている境遇に関してマスコミは分かっているはずなのにあまり取り上げない。

三宅島の雄山が大噴火したのは2000年のことだった。・・2000年9月には全島民に避難指示が出た。

数百年に一度の自然災害がきっかけになっているという点は両者に共通する。

三宅島の場合はほとんどすべての災害の原因が自然であるの対して、福島の場合は原発(つまり人工的なもの)が大きな二次的な原因になっている点が大きく異なる。そういう意味では三宅島の避難は岩手や宮城の避難に近い。

三宅島の島民は主に東京都から支援を受けた。都は都営住宅を無償で提供した。もちろん全国から義捐金も届いた。一方福島の避難民は福島県を始め他都県などからも住宅提供を受けるなど支援の輪が広がっている。また全国だけではなく世界中から義捐金が届くことになるだろう。規模が違うのでこうなるのだろう。都は住宅再建補助として三宅島避難民に最大150万円を支給した。福島のことは未定であるが、さまざまな再建支援策が検討されている。県だけでは困難なので国がかなり支援することになるだろう。

三宅島の場合は「誰のせいでもない」ので他の人を非難したり恨んだりすることもできず、もちろん「損害賠償」を要求することもできない。これは岩手や宮城の避難民も同じかもしれない。一方、福島の場合は「東電や国」を非難し、損害賠償を(発生した費用だけでなく逸失利益も)要求することができる。既に仮払いも始まった。東電に支払い能力がなければ国がバックアップ(公的資金・・長期融資・・の投入)することになるだろう。

いつまで避難しなければならないのか? 三宅島の場合は「いつになるか分からない」避難を強いられた。火山活動・・特に有毒ガスの発生が収まらなければならないという自然相手のことだったからである。結局避難指示が解除されたのは4年5ヵ月後の2005年2月のことだった。福島の場合は一応曲がりなりにも6ヶ月~9が月後という行程表が示された・・修復作業がうまくいけばと言う条件付だが・・。

三宅島の場合は火山弾が飛んでくる、有毒ガス(二酸化硫黄)にやられる恐れがある、火砕流にやられるかもしれない、火山灰で耕作できなくなる・・などが主な被害である。避難指示解除後もガスマスクの携行が必要で、突然の災害があっても「自己責任」ということになっている。一方福島では放射能物質が降り注ぐ(土壌・飲料水・野菜・魚介類の被害)、これらが長期化する恐れがある、炉心溶融などの爆発的な事故(高レベル放射線・高濃度放射能への被曝)に遭遇する恐れがある。火山は誰もなだめることはできないが、放射能の危険性はどこまで除去できるかどうかは未知数だが東電や国の責任でやらねばならないことである。

こういう比較をした上で我々は何を考えるべきか?
三宅島の島民は今この災害や避難をどのように感じているのだろうか?