ようやく福島第一原発に外部電源が届いた。冷却システムなどが回復することを祈る。外部からの放水はあくまで非常措置であり恒久的な冷却システムが動かなければ危機を脱することはできない。

さて皆さんは福島第二原発のことをもう忘れていないだろうか。地震が起きた直後にはかなり報道されていたが、今はほとんど報道されていない。そこでこれを思い起こしてみることにしよう。

そこで東京電力のホームページのプレスリリース(PR)から福島第二原発の時系列的な状況を追ってみよう。PR以外は報道(テレビ、新聞、インターネット)によるものである。

3月11日:全号機が地震で停止中との発表
3月11日:1号機でECCSが作動したとの報道あり
3月12日:1,2,4号機の冷却機能喪失との報道
3月12日:1,2,3,4号機の圧力を下げるため放出の準備を始めたとの発表
3月12日:3号機が冷温停止中との報道
3月14日:1,2号機の海水ポンプを含む冷却システムがモータの交換で回復との報道
3月15日:冷却機能が復旧し3/12に3号機が、3/14に1,2号機が、3/15に4号機が冷温停止となったとの発表
3月16日:3/15に各号機の放出準備措置を解除したと発表
3月16日:3/15に1,4号機の非常用補機冷却系のポンプ圧力が低下し、電源装置を交換して復旧との発表

冷温停止とは冷却を続ける必要があるものの100℃以下で安定した停止状態だから、安心レベルになったということだ。

第一と違う最も大きな要因は「電源の健全性」である。第一が今までなかなか安定的な状態にならないのは電源が問題なのだ。原発は停電すると非常用電源に切り替えて運転することになっているが、第一は非常用電源が故障し、第二は非常用電源がふんばったということなのだろう(訂正脚注)。第一より第二の方が新しいので、新技術が採用されているのかもしれない。

第一と第二の違いは原発技術者に重要なノウハウをもたらす。つまり日本はマグニチュード9の地震と大津波でも安全に原発を停止できる知恵を持ったことになるのだ。おそらく日本で原発を建設するのは当分困難になるだろう。しかし世界中から発注を受けて日本経済復興に貢献できることを祈る。

注)福島第二原発は地震後も全号機とも外部電源から受電していたようで、差異は非常用電源の健全性ではなく、外部電源の健全性が要因でした。第一原発は外部電源の切断と非常用電源の故障という二重のトラブルに見舞われたことになる。