海上保安官の逮捕が見送られた。今後の処分は未定であるが、マスコミ(特にテレビ)の報道があまりにも稚拙なので、ここで整理しておこう(「お前の方がくどい」ってか? ほっといてくれ!)
逮捕あるいは起訴すべきかどうかに関してポイントがいくつかある。
1.職務に基づいて得た情報か?:一時期、海上保安庁の職員なら誰でもアクセスできたし、他の教育用の資料などと同等の位置づけにあったものであるなら「職務」との判断は苦しい。こじつければ該当するとの解釈もできるだろうが・・・。
2.漏洩した情報は秘密か?:確かに中国との関係を政府が配慮し、中国人船長を逮捕した時点で、外交的にあるいは司法的に秘密の対象になった。しかし内容の概要は発表済みであり、国会議員の一部に公開され、その談話をベースに再現フィルムまで作られて大部分が国民の知るところになっていたということから、実質的には秘密ではないとも解釈される。秘密と解釈できなくもないが、裁判所が認める可能性は不明(五分五分)であろう。
3.保護すべき秘密か?:ユーチューブに公開された結果、何か不都合が起きたかというと今のところ何もない。船長は起訴できるはずもないので、その裁判には影響ないし、外交的にも不都合はまず起きない。逆に国民の「知る権利」を満足させるというプラスの効果があった。外交的にも非公式に「中国側の非」を国際的に知らしめる効果があった。そもそも保護すべきものだったとは言えそうにない・・。
4.公平性は担保されるのか?:船長は逮捕されたが処分保留で釈放された。一方で保安官を逮捕して起訴できるのか? 確かに逮捕は起訴を前提にするものであるから、逮捕(起訴)してしまえば不公平性が際立つことになる。ただし、両者は同じ罪に関することではないから、公平性はあまり気にせず法に基づいて客観的に判断すべきであろう。
5.国民感情を配慮すべきか?:確かに政府の不手際や上記公平性などを元に国民の側の多くに「罪に問うべきではない」との声がある。どうやら検察も気にかけているようだが、私見では、これは「無視」して然るべきである。この時点で漠然たる存在の「大衆」は「警察官」でも「検察官」でも「裁判官」でもないのだから・・。
6.公務員として不適当な行為ではないか?:まず適切ではない行為ではあるだろう。たとえば社員が社内情報を外部に垂れ流したら不適当とされるだろう。しかしそれは法律に触れない限りは内規によって処分されるべきである。たとえば会社員であれば従業員規則や社則に懲戒規定がある。私は国家公務員ないしは海上保安庁の職員規則を知らないからどの程度の処罰が適当かは分からない。規則に書いてあることに忠実に、たとえば懲戒免職とか停職処分にすればよい。これは本人も十分覚悟していることだ。停職になったとしても本人は自発的に辞職するかもしれない・・。
実はもう一つ重要なポイントがあってメディアはあまり取り上げていない。
それは「小沢事件」の取り扱いと関連する。検察庁は秘書を逮捕し起訴したが、議員本人に関しては証拠が不十分であるとして任意事情聴取に留め、逮捕も起訴もしなかった。そして検察審査会が「起訴相当」の結論を出しても、二度とも「不起訴」の判断を下した。言われるところの理由は「検察は99%有罪にできる自信がなければ起訴しない」ということであった。しかし「国民の代表による判断」に基づいて強制起訴になろうとしている。
これを本事件に当てはめてみよう。起訴可能かどうかについて専門家の意見は分かれている。しかし「起訴すべし」の意見はほとんど感情的なものである。客観的な意見のほとんどは「秘密性が低いなどから公判維持困難」である。つまり「99%有罪」には程遠い状況なのであるから、小沢事件と並べて評価すれば「不起訴」が妥当である。
仙石官房長官は「国民の多くは法に基づく処罰を求めているはずだ」と発言しているが、それならば、国民の誰かが「不起訴は不当で起訴すべき」として検察審査会の審査を求めればよいのだ。「国民の感覚」はこの時点で明確に反映されることになるだろう。
もし検察が中途半端に「罰金刑で略式起訴」などという処分をしたら、保安官は略式を拒否して本格裁判で戦うべきと思う。
逮捕あるいは起訴すべきかどうかに関してポイントがいくつかある。
1.職務に基づいて得た情報か?:一時期、海上保安庁の職員なら誰でもアクセスできたし、他の教育用の資料などと同等の位置づけにあったものであるなら「職務」との判断は苦しい。こじつければ該当するとの解釈もできるだろうが・・・。
2.漏洩した情報は秘密か?:確かに中国との関係を政府が配慮し、中国人船長を逮捕した時点で、外交的にあるいは司法的に秘密の対象になった。しかし内容の概要は発表済みであり、国会議員の一部に公開され、その談話をベースに再現フィルムまで作られて大部分が国民の知るところになっていたということから、実質的には秘密ではないとも解釈される。秘密と解釈できなくもないが、裁判所が認める可能性は不明(五分五分)であろう。
3.保護すべき秘密か?:ユーチューブに公開された結果、何か不都合が起きたかというと今のところ何もない。船長は起訴できるはずもないので、その裁判には影響ないし、外交的にも不都合はまず起きない。逆に国民の「知る権利」を満足させるというプラスの効果があった。外交的にも非公式に「中国側の非」を国際的に知らしめる効果があった。そもそも保護すべきものだったとは言えそうにない・・。
4.公平性は担保されるのか?:船長は逮捕されたが処分保留で釈放された。一方で保安官を逮捕して起訴できるのか? 確かに逮捕は起訴を前提にするものであるから、逮捕(起訴)してしまえば不公平性が際立つことになる。ただし、両者は同じ罪に関することではないから、公平性はあまり気にせず法に基づいて客観的に判断すべきであろう。
5.国民感情を配慮すべきか?:確かに政府の不手際や上記公平性などを元に国民の側の多くに「罪に問うべきではない」との声がある。どうやら検察も気にかけているようだが、私見では、これは「無視」して然るべきである。この時点で漠然たる存在の「大衆」は「警察官」でも「検察官」でも「裁判官」でもないのだから・・。
6.公務員として不適当な行為ではないか?:まず適切ではない行為ではあるだろう。たとえば社員が社内情報を外部に垂れ流したら不適当とされるだろう。しかしそれは法律に触れない限りは内規によって処分されるべきである。たとえば会社員であれば従業員規則や社則に懲戒規定がある。私は国家公務員ないしは海上保安庁の職員規則を知らないからどの程度の処罰が適当かは分からない。規則に書いてあることに忠実に、たとえば懲戒免職とか停職処分にすればよい。これは本人も十分覚悟していることだ。停職になったとしても本人は自発的に辞職するかもしれない・・。
実はもう一つ重要なポイントがあってメディアはあまり取り上げていない。
それは「小沢事件」の取り扱いと関連する。検察庁は秘書を逮捕し起訴したが、議員本人に関しては証拠が不十分であるとして任意事情聴取に留め、逮捕も起訴もしなかった。そして検察審査会が「起訴相当」の結論を出しても、二度とも「不起訴」の判断を下した。言われるところの理由は「検察は99%有罪にできる自信がなければ起訴しない」ということであった。しかし「国民の代表による判断」に基づいて強制起訴になろうとしている。
これを本事件に当てはめてみよう。起訴可能かどうかについて専門家の意見は分かれている。しかし「起訴すべし」の意見はほとんど感情的なものである。客観的な意見のほとんどは「秘密性が低いなどから公判維持困難」である。つまり「99%有罪」には程遠い状況なのであるから、小沢事件と並べて評価すれば「不起訴」が妥当である。
仙石官房長官は「国民の多くは法に基づく処罰を求めているはずだ」と発言しているが、それならば、国民の誰かが「不起訴は不当で起訴すべき」として検察審査会の審査を求めればよいのだ。「国民の感覚」はこの時点で明確に反映されることになるだろう。
もし検察が中途半端に「罰金刑で略式起訴」などという処分をしたら、保安官は略式を拒否して本格裁判で戦うべきと思う。