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講談社の週刊「世界の美術館」を定期購読することにした。その創刊号のルーブル美術館 第2号のオルセー美術館△泙覇呂い拭ところが昨日また創刊号が届いた。
何だろうと思ったら、ダヴィッド作「ナポレオンの戴冠」の写真を取り違えたので訂正版を送ってきたのだ。まったく同じ構図のヴェルサイユ宮殿美術館所蔵のものと間違えてしまったのだ。私も二つを並べて見比べているうちにどちらが訂正版かわからなくなってしまった。上の写真がルーブルで下の写真がヴェルサイユだけれど・・・。
絵の訂正以外に、表紙に「二刷」と小さく書いてあるのがわかって、混同する心配はなくなった。しかし、どこが違うのか比べてみたくなった。差異の主なところは中央下部の人物が書かれている部分に多い。これら人物は実在の人物を、肖像画を元にして書き入れたらしい。
もっとも有名なのは左側に立っている5人の婦人の内、左から2番目の婦人のドレスの色違いで、ルーブルのものは白、ヴェルサイユのものはピンクである。もう一つ中央奥に座る婦人(ナポレオンの母)のベールのあり(ヴェルサイユ)、なし(ルーブル)もよく知られている。
細かく言うと他にもある。特に左側に並んでいる男性の顔かたちの異なるものが多い。上述の女性のすぐ後ろの男性と最も左側上部の男性は、ルーブルは白髪はげ頭だがヴェルサイユは黒髪ふさふさである。そのほかも、5人の女性の後ろに立つ男性陣のほとんどが髪型ないしは人相が異なるのである。そのほかでは左側の壁の模様が微妙にといっても大分異なるのが見て取れる。

ヴェルサイユのものが習作でルーブルのものがナポレオンに納品されたものらしい。ダヴィッドは習作を手元に残し、加筆して完成度は本物と同じレベルになったものと思われる。予備として複製を作ることはよくあったそうで、本物を区別できるように部分的に異なって書いたのだとも言われる。

しかし、この男達の差異は何だろう。恐らく、左側はたいした位の人物ではなかったのだろう。本物に書き込まれていなかった連中からダヴィッドが頼まれて書いたものかもしれない。それとも単なるいたずら心??

ところで「戴冠」というのは「ナポレオンが皇帝になる」儀式だと思っていたら、そうではなかった。「ナポレオンが妻ジョゼフィーヌに冠を授ける」儀式ということらしい。「戴冠するのは法王」という慣例を破って、法王たちを脇に座らせ、自らが戴冠することによって、その権威を誇示したらしい。