夜を司るは闇を好み
 

時より気まぐれに
 

薄明かりをたぐり寄せる
 

雲の合間に輝く星は
 

しなだれ落ちる天の川
 

天は静かに見下ろすばかり



余計なものは闇が消す
 

雪のように誤魔化さず
 

何もかも取り込んで閉ざしていく
 

陽(ひ)は最後に幕を引き
 

訳知り顔で沈んでいく
 

照らされた分だけ
 

闇はさらに深くなる



待ちかねた闇は
 

嫁入り
 

お渡り
 

黄泉の送りに
 

神楽の舞
 

丑の時でも
 

何にでも化け
 

手ぐすね引いて煙に巻く



煽るがごとく爆ぜる炎
 

篝の燈が
 

名残惜しんで
 

清めの酒を飲め
 

穢れた罪を御祓の水で身も洗えと
 

怯え立つ帳口に
 

背を押す炎(ほむら)の影が差す



森の深い部分にのぼる月が
 

さぁ来い
 

さぁ来いと
 

手招きどおり踏み入れば
 

その月は脇に退いて
 

住み着く百舌鳥が
 

ねぐらを探し鳴き合えば
 

鵺(ぬえ)が吠え返す



暗い
 

暗い闇の中で
 

探したい物が目の前でも見つけられない
 

手の中にある物もいつの間にか失せている
 

会いたい人が目の前にいても会えず
 

手を繋いでいたはずの人も
 

いつの間にか消えてしまう
 

やがて広がる闇に飲み込まれる



むせ返る闇は夜を操り
 

その操り糸も都合よく隠し


行方の標も飲み込んで

 

生者と死者を曖昧にする
 

喧騒と静寂がせめぎ合っても
 

いずれは
 

静寂が呼び起こされ
 

油断もできぬ眠りにつく