廃墟は人の声を吸い込んでいく
 

どんな声でも吸い込んでいく
 

人の手で造られたのに
 

見捨てられた建物
 

久しぶりの人の声を懐かしんで
 

ここぞと言わんばなりに吸い込んでいく



ずっとここで待っていたんだよと言いたげな
 

見放された建物
 

靴音すらも漏らさずに
 

忘れられてしまったのかと少し拗ねて見せる
 

朽ち果てた建物
 

人の息遣いもひとつ残らずこぼさず



それはまるで迷子犬が
 

久しぶりに飼い主と再会したかのように
 

たとえその飼い主が遠くに捨てに行った犬だとしても
 

犬が健気に尾を振って
 

すり寄ってくるように