アスファルトの上にその身を晒して
力尽きて朽ち果てようとしている蝉の亡骸は
決して土に還ることはない
人の行いをその小さな身体に背負わされたようにして
そうして土に還れぬ命を人は費やしている
降る雨も
積もる雪も
土に還り
地中を巡ることはもうない
コンクリートに囲まれた水路を真っ直ぐ流される
曲がることは許されない
魚が遡ることも許されない
水路をひたすら海に吐き出される
ただ一時の抗い(あらがい)が氾濫であるように
空を切り取るように伸びていくビル群
他人と群がることを嫌いながら
群れなすビル群
思わぬビル風にうまく乗り
鳥はその上の空を目指す
飛べるはずの空だった空間の塊を目もくれず
あらゆるものが戻ることを拒むのが街
何かしらの意味がないと生きられない人間が作り上げた街
そんな街を
物言わぬ風だけが走っていく
何か言いたげに頬を打つ