まるで血液が流れるように

 

河は下り

 

大海をなす

 

海流は混じり合い

 

流れに抗う魚(けもの)は互いに身をよじり

 

せめぎ合う

 

 

 

まるで息づかうように

 

空気は流れ

 

鳥(けもの)は翼を広げ

 

時に胞子を

 

種子を乗せて

 

舞い上がる風は

 

雲を孕み

 

そして雨へと還っていく

 

 

 

まるで鼓動のように

 

マグマは熱く深く流れ

 

プレートの押し引きは

 

地を震わせ

 

火を噴き

 

峰を頂く

 

形造られた山は連なり

 

阻まれた風は吹き下ろす

 

 

 

山を越え

 

谷を渡り

 

河を行き交い

 

海原を漂い

 

深海に潜み

 

地を這い

 

地中に潜り

 

木々を伝い

 

岩を砕き

 

砂を咬み

 

雨露を凌ぎ

 

氷雪をやり過ごし

 

極限の乾きにも耐え

 

その中で

 

雄は雌を求め

 

雌は選び

 

敵と戦い

 

巣を結び

 

食らい寝の日々は止めどない

 

いずれ朽ち果てる身であろうとも

 

休むことはない

 

止むこともない

 

 

 

昇る日はどこかでは日中(ひなか)を差し

 

または沈み

 

沈む太陽はいずこかでは昇っていく

 

月は満ち欠けを繰り返し

 

星は静かに瞬く

 

そうしてこの星は回っている

 

そこにあるべくしてあるわけではなく

 

されど当たり前としているわけでもない

 

ずっと今までそうしてきたように

 

ずっとこれからもそうであるように

 

 

 

けれど

 

人には国境がある

 

自らが課した枷として

 

まるで軛(くびき)のように

 

人には国境がある