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砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)
岩波書店
ヒルティ(著)Carl Hilty(原著)草間 平作(翻訳)大和 邦太郎(翻訳)
発売日:1973-05-16
おすすめ度:5.0



このタイトルは夜型の僕のための本だなと購入して、眠る前に少しづつ、4年近くかけて読破した。こんなに時間をかけて読み終えた本は初めてだ。

キリスト教の信者でスイスの哲学者であったヒルティによって、よりよく生きていくための考え方が記されている。日付をつけて日記のように365日分の短い文章としてあるのが、少しづつ読むのに適している。

この本にはキリストを信じるものとしての生き方が説いてある。本当の幸福とはキリストを信じることでしか生まれず、それ以外の幸福はありえないと。それは、僕のような無神論者で信仰心の欠片もなく、特にキリスト教に帰依するつもりもない者にとっては、読んだからといってどうしようもないことだ。だけど、快楽だけを求める生き方を否定することには好感がもてる。キリストを信じる生き方といっても、ヒルティの経験にもとづいた内容なので、ただの説教で終わらずに、実践向きなところに読み応えがある。人が生きていく社会のなかであるべき道徳観や倫理観というものは時代を超え、何を信仰するかを問わずして不変的なものがあることも分かる。

キリストを信じる生き方と、自分の価値観を照らし合わせることで、客観的に自分を見つめることができる。などと小難しいことを考えてながら読むと、すぐに眠れるというのが僕がこの本を好きで読んでいた理由だ。おかげで読み終えるのに4年かかったのだが。

全編が箴言であり、そのどれもが考えさせらるものだが、僕の一番のお気に入りはこれ。

他の人びとが欲するままに任せておいてよいことが、世には限りなく多い。結局、それはどうでもよいことだからだ。


■世界三大幸福論


幸福論 (第1部) (岩波文庫)
岩波書店
ヒルティ(著)
発売日:1961-01
おすすめ度:5.0
幸福論 (岩波文庫)
岩波書店
アラン(著)Alain(原著)神谷 幹夫(翻訳)
発売日:1998-01
おすすめ度:4.0
ラッセル幸福論 (岩波文庫)
岩波書店
B. ラッセル(著)安藤 貞雄(翻訳)
発売日:1991-03
おすすめ度:4.5



Amazy
まこという名の不思議顔の猫 (マーブルブックス)
マーブルトロン
前田 敬子(著)岡 優太郎(著)
発売日:2007-06
おすすめ度:5.0



今日は忙しかった。年末の前倒し入荷で雑誌も書籍も多い上に、クリスマス包装が次から次にやってくるし、英検と漢検も締め切り間際なので受付もしなくてはいけない。さらに、年賀状ソフトはどれが使いやすいかという問い合わせに答えつつ、カレンダーを探すお客様の対応をしていたら、新刊を並べる余裕がなくて「今日入ってるはずだけど」と、お客様に言われて、あわてて箱をひっくり返す始末。

ライトノベル多数と、新潮文庫、中公文庫など入荷。

トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫 オ 9-10)
新潮社
ポール・オースター(著)柴田 元幸(翻訳)
発売日:2007-12
夢の守り人 (新潮文庫 う 18-4)
新潮社
上橋 菜穂子(著)
発売日:2007-12
ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶 (新潮文庫 お 67-2)
新潮社
大崎 善生(著)
発売日:2007-12
土の中の子供 (新潮文庫 な 56-2)
新潮社
中村 文則(著)
発売日:2007-12
西ひがし 改版 (中公文庫 か 18-10)
中央公論新社
金子 光晴(著)
発売日:2007-12



Amazy



デミアン
新潮社
ヘッセ(著)高橋 健二(著)
発売日:1951-11
おすすめ度:4.5



信心深い両親の元で育てられたシンクレールは、神をも恐れぬ言動のデミアンに衝撃を受けると同時に憧れを抱く。キリスト教以外の価値観に魅せられ揺れ動くシンクレールの若き苦悩の日々を描いている。以前に読んだ『シッダールタ』は仏教思想が中心だったが、ここではもっと漠然したものが理想とされていて、善悪二元論を内包した神といったもので、東洋思想の影響にあるらしい。

信仰や価値観を巡って自己を探究する物語であるのだが、ギムナジウム的な雰囲気が全体を漂いつつ、ティーンエイジャーの男同士の精神的だけとはいえ密接な関係が描かれるなど『トーマの心臓』や『風と木の詩』を思いだした。


風と木の詩 (1)
中央公論新社
竹宮 惠子(著)
発売日:2002-07
おすすめ度:5.0
トーマの心臓 (小学館文庫)
小学館
萩尾 望都(著)
発売日:1995-08
おすすめ度:5.0

Amazy
サクリファイス
新潮社
近藤 史恵(著)
発売日:2007-08
おすすめ度:4.0


今年の各ミステリーランキングでもベスト10入りをはたし、キノベス1位 の話題作。たぶん本屋大賞候補にも入ってくるのではないかと思われる。自転車ロードレースが舞台となるスポーツミステリー。

この競技のことをまったく知らなかったのだが、そのルールや独特の駆け引きなど競技自体の魅力が丁寧に描かれていて、それだけでも青春スポーツ小説として十分に楽しめる。

チームで戦いながらも、勝敗は個人で決まるという競技内容。チームのエースを勝たせるためにサポート役に徹する主人公。その競技自体のシステムがミステリーへと直結してゆく。ネタばれになるのであまり書けないが、タイトルが「犠牲」とあるように、ただの爽やかなスポーツ小説とは一線を画した内容となっている。久しぶりに一気読みをした。
フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫 よ 29-1)
新潮社
吉田 篤弘(著)
発売日:2007-07
おすすめ度:4.5



ビートルズのホワイトアルバムには通し番号があったらしく、この本の中で語られる物語にはホワイトアルバムが登場して、タイトルの下にはその番号が書かれている。

どれも短い話で、それはクスリと笑えるものから、懐かしい気持ちになったり、嬉しくなる物語や、いろいろな雰囲気のものがある。バラエティに富んだ楽曲が収録されたホワイトアルバムを意識してのことだろ。僕は吉田篤弘の本をもう何冊も読んでいるけれど、そこにはいつも音楽を聴くような心地よさがある。


ザ・ビートルズ
EMIミュージック・ジャパン
ザ・ビートルズ(アーティスト)
発売日:1998-03-11
おすすめ度:4.5