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砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

2010年1月発売の気になる文庫を「砂場書店」にて更新しました。

今回のお薦め本は、、、

ねにもつタイプ (ちくま文庫)
岸本 佐知子
筑摩書房
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ここ数年で読んだエッセイのなかではダントツでおもしろかった。もちろん翻訳も好きだけど、エッセイももっと書いてほしいなと思う。
文化系トークラジオLife「今、聞きたい名言」を聴いていたら、長年積読本だった名言本を思いだして勢いで読了。文脈を踏まえた上でその深さを味わうというLifeでの名言に対して、こういう名言本は文脈なしで言葉だけが並んでいる。僕はこういう自立した名言のほうが好みだ。何の背景も持たない短いフレーズが自分の中に入り込むことによって意味が広がっていくときの独特の感覚。自分の内なる文脈に位置づけられたとき、その言葉は名言となりかけがえのないものになる。

ことばの花束―岩波文庫の名句365 (岩波文庫別冊)

岩波書店
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『ことばの花束』より引用

私はクリスト教徒が正しいということを欠伸しながら認める。
シェンキェヴィチ
P102

余は今まで禅宗のいはゆる悟りといふ事を誤解して居た。悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった。
正岡子規
P104

沈黙しているとき私は充実を覚える。口を開こうとするときたちまち空虚を感じる。
魯迅
P134

苦労が人間をけだかくするというのは、事実に反する。幸福が、時にはそうすることはあるが、苦労はたいてい、人間をけちに意地悪くするものなのだ。
モーム
P151

私の生涯は極めて簡単なものであった。その前半は黒板を前にして坐した、その後半は黒板を後にして立った。黒板に向かって一回転をなしたといえば、それで私の伝記は尽きるのである。
西田幾太郎
P167

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岩波文庫編集部
岩波書店
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『ことばの饗宴』より引用

上から桜の葉が時々落ちて来る。その一つがバスケットのふたの上に乗った。乗ったと思ううちに吹かれて行った。風が女を包んだ。女は秋の中に立っている。
夏目漱石
P12

「いい人ね。」
「それはそう、いい人らしい。」
「ほんとにいい人ね。いい人はいいね。」
川端康成
P14

一個の人間にとってもっとも恐ろしいのは、気がつかないということです。気がついてしまえば、救う方法はあるものです。
郭沫若
P114

「なんでもない事が楽しいようでなくてはいけない」というのが父の気持ちだった。ところが子供の私にそんな事が解るはずはなかった。
小堀杏奴
P120

感ずる心がなければ言葉は符牒に過ぎない。路傍の瓦礫の中から黄金をひろい出すというよりも、むしろ瓦礫そのものが黄金の仮装であった事を見破る者は詩人である。
高村光太郎
P172
2010年1月発売の気になる単行本を「砂場書店」にて更新しました。

本屋大賞ノミネート作の読書に忙しく、ブログ更新が滞りがちです。ツイッターではときどきつぶやいております。1月はいつもに比べて気になる本の数は少ないものの、どれも読みたい本ばかりのラインナップです。そんな中でもっとも気になる本は、、、

わたしが一番きれいだったとき ~凜として生きるための言葉~
茨木 のり子
毎日コミュニケーションズ
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写真詩集。茨木のり子さんの5つの詩と多部未華子さんの写真のコラボ。これは欲しい!
身の上話
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佐藤正午
光文社
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仕事中に不倫相手の男についていってしまい、そのまま東京で暮らすことになってしまった女性の身の上話。なんだか勢いだけで、自分勝手な女性だなと思って読んでいたら、完全に作者のペースに巻き込まれて一気読み。初めて佐藤正午の本を読んだが、評判のいい作家さんだけあって、素晴らしい完成度の高さだった。

のこのこ東京に来てしまっただけでも波乱の幕開けなのに、同僚に頼まれて買った宝くじが2億円当たっていたから大変だ。不倫やら仕事やら元恋人やら友人やら、もう全てが複雑に絡み合っていく。ネタバレになるからあまり書けないが、この物語がこのように集約されて結末を向かえるとは、思いもよらなかった。ミステリーとしても見事だし、エンタメ小説としても楽しめる。ジャンルにとらわれない小説の魅力を持った大満足な一冊だ。
好きな順とかではなく、読んだ順番になっています。小説は前半戦は書評用などに厳選したものと本屋大賞候補作、後半は個人的に好きな作家ががちらほら混じってきます。フィクションも厳選して読んだものと、は関西本、経済学、社会学などの本をまとめて読んだものと、あとは気ままに読み散らかしたもの。当然ながらハズレの本もあるけれど、全体としてはレベルの高い本ばかりの一年でした。今年もいい本にたくさん巡りあえますように。

■フィクション
『TAP』グレッグ・イーガン
『愚者が出てくる、城寨が見える』マンシェット
『茗荷谷の猫』木内昇
『部屋の向こうまでの長い旅』ティボール・フィッシャー
『テンペスト』池上永一
『BOX』百田尚樹
『のぼうの城』和田竜
『流星の絆』東野圭吾
『悼む人』天童荒太
『新世界にて』貴志祐介
『ジョーカーゲーム』柳広司
『出星前夜』飯嶋和一
『八番筋カウンシル』津村記久子
『夏の水の半魚人』前田司郎
『沖で待つ』糸山秋子
『舞い落ちる村』谷崎由衣
『マジックランタンサーカス』一村征吾
『ジーザス・サン』デニス・ジョンソン/柴田訳
『僕とカミンスキー』ダニエル・ケールマン
『麗しのオルタンス』ジャック・ルーボー
『ダブリンで死んだ娘』ベンジャミン・ブラック
『遠い響き』藤谷治
『極北で』ジョージーナ・ハーディング
『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン
『イエメンで鮭釣りを』ポール・トーディ
『ミサキラヂオ』瀬川深
『ひとさらい』笹井宏之
『全世界のデボラ』平山瑞穂
『ドンナ・マサヨの悪魔』村田喜代子
『木でできた海』ジョナサン・キャロル
『絶望ノート』歌野晶午
『何もかも憂鬱な夜に』中村文則
『肩胛骨は翼のなごり』デイヴィッド・アーモンド
『贖罪』湊かなえ
『プロメテウスの涙』乾ルカ
『枯骨の恋』岡部えつ
『あるキング』伊坂幸太郎
『宵山万華鏡』森見登美彦
『マクベス』シェイクスピア
『どこから行っても遠い町』川上弘美
『ハーモニー』伊藤計画
『愛でもない青春でもない旅立たない』前田司郎
『花と流れ星』道尾秀介
『龍神の雨』道尾秀介
『神去なあなあ日常』三浦しをん
『鬼の跫音』道尾秀介
『掏摸』中村文則
『歌の翼に』トマス・M・ディッシュ
『ヘヴン』川上未映子
『アンダルシアの肩かけ』エルサ・モランテ
『SOSの猿』伊坂幸太郎
『あなたのための物語』長谷敏司
『ビッチマグネット』舞城王太郎
『NOVA1』大森望編
『マーティン・ドレスラーの夢』スティーヴン・ミルハウザー
『泣くと本当に涙がでる』中村葉子

■ノンフィクション
『なみのひとなみのいとなみ』宮田珠己
『やすしきよしの長い夏』近藤勝重
『必死のパッチ』桂雀々
『関西のクラフト&デザイン』
『笑い飯哲夫訳 般若心経』笑い飯哲夫
『大阪の地名の由来を歩く』若一光司
『日本列島プチ改造論』パオロ・マッツァリーノ
『世界は感情で動く』マッテオ・モッテルリーニ
『生きのびろ、ことば』小池昌代・編
『生まれてすみません』山口智司
『「多様な意見」はなぜ正しいのか』スコット・ペイジ
『あらためて教養とは』村上陽一郎
『人生問題集』穂村弘・春日武彦
『33個めの石』森岡正博
『人でなしの経済理論』ハロルド・ウィンター
『トラウマの国ニッポン』高橋秀実
『追跡!私の「ごみ」』エリザベス・ロイト
『大不況には本を読む』橋本治
『整形前夜』穂村弘
『日本の難点』宮台真司
『心理学化する社会』斎藤環
『ネオリベラリズムの精神分析』樫村愛子
『ニッポンの思想』佐々木敦
『社会学がわかる辞典』森下伸也
『よくわかる社会学 第2版』宇都宮京子・編
『経済成長という病』平川克美
『アンビエント・ドライヴァー』細野晴臣
『考具』加藤昌治
『社会学入門』稲葉振一郎
『新世紀メディア論』小林弘人
『読書について』ショウペン・ハウエル
『ダメな議論』飯田泰之
『「不自由」論』仲正昌樹
『経済成長って何で必要なんだろう?』飯田泰之
『自由を考える』東浩樹・大澤真幸
『地頭力を鍛える』細谷功
『戦略的な人の超速★仕事術』西村克己
『藝術とは何か』福田恒存
『私の幸福論』福田恒存
『思考の整理学』外山滋比古
『考えるヒント』小林秀雄
『読んでいない本について堂々と語る方法』ピエール・バイヤール
『光あるうち光の中を歩め』トルストイ
『空からきた魚』アーサー・ビナード