尼崎出身ファッションデザイナーによるエッセイ集。僕も尼崎在住なので、うちの家族ほうが絶対面白いと対抗意識を持ちながら読んだが、完敗だ。バカバカしくも哀愁漂う強烈エピソード満載で、どこか同じく尼崎出身の中島らもを彷彿とさせるものがある。写真なども一緒に綴じるなどお洒落な装丁も魅力。
空想のゴルフで上達し続ける父親、ぼろぼろ状態の犬や猫をどんどん拾ってくる母親、寝顔が荒俣宏そっくりの妹(この本の挿絵も描いている)。ギリギリ放送禁止ではないかと思われるネタも挟みながら、脱力系・爆笑系・シュール系などその笑いの幅は多彩だ。さらにはミステリー系やホラー系など縦横無尽な展開もあり、特に「おじいのこと」は長編小説でも書けるのではという空前絶後のエピソードで万人に読んで欲しい衝撃度。
そして何よりもこの小説の魅力となっているのが仰天エピソードの中に垣間見える家族の強い繋がり。お互いにけなしあっている部分も含めて、この家族としか呼びようのない一体感は近頃なかなかお目にかかることはできない。感動エピソードの小説もいいけれど、こういうバカバカしい日常のの中から浮かび上がってくる家族愛というのも、とても魅力的なものだなと思う。
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