音楽一家に生まれたチェリストの少年が主人公。爽やかさを前面に押し出した青春小説として素晴らしい前半と、急転直下して若さゆえの過ちと苦悩を綴った切実な後半。そして全編に渡って鳴り響く音楽。そのメロディは祝福であり、審判でもあった。喜びと、悲しみと、希望と、絶望と、全てが音楽とともにある。
この小説を思い返すたび、いろんな想いが駆け巡りうまく言葉にならない。読み終えてからもうだいぶ時間がたつのに、いまだ余韻の中にいるような気がする。誰かが「小説とは読者から言葉を奪うものだ」と言っていた。僕は小説を読んだのだなと思う。


