「カタリテ」は物語を書き始めるも、筆が止まってしまう。将棋友達の円田君と時間をつぶしたり、仕事場に頻繁に顔をだす娘「音」(本当の吉田篤弘の娘の名前)に振り回されているうちに、いつのまにか自分が物語の中に入り込み、また物語の登場人物が現実の世界へと飛び出していく。現実と物語が交じり合った不思議な小説。
ここ数年、新刊が出たら絶対に買う作家・吉田篤弘の『圏外へ』を読了。著者の集大成的なメタ小説。居心地がよい世界を作るのが上手い作風を逆手にとって、小説が終わる寂しさを小説にしてしまうというアラワザに脱帽。
奇妙な物語の登場人物、個性豊かな現実の家族や知人たち。その誰もが魅力的だが、僕の一番のお気に入りは「サテ」少年。物語を先に進める狂言回しとして登場して、いまいち現状を把握できない「カタリテ」を叱咤激励して物語の向かう先へと導いてくれる。
と、ここまで勢いで書いたものの、僕もこのあとどう続ければいいのか分からなくなってしまった。ためしに「サテ」少年を頼ってみようか。
さて。
と書いたものの僕には「サテ」少年は助けにきてくれないようなので、今回はこのあたりで。おーい。
