この物語はきみが読んできた全部の物語の続編だ。ノワールでもいい。家族小説でもいい。ただただ疾走しているロード・ノベルでも。
冒頭からいきなり古川日出男節が全開。あいかわらずクセのある文体だが、クセがあるだけにヤミつきになる。書評で誰かがこの小説は詩に近いと言っていた。登場人物は少年と女子高生と中年男性の三人の「ハル」。それぞれ今まで生きてきた物語があり、もちろんこの物語は彼らの物語の続編なのだが、同時に今まで僕が読んできた物語の続編でもある。僕はこんなふうにどこまでも主観的に物語を読むのは好きだ。小説は主観的だからこそ面白いと思っている。
この本には「ハル、ハル、ハル」「スローモーション」「8ドックズ」の三編が収録されている。帯には「古川日出男の圧倒的最高傑作」とある。巻末に古川日出男のかなり気合の入った文章が掲載されているので一部抜粋。
二〇〇五年十一月から僕は完全に新しい階梯に入った。最初にこれを宣言しておこう。そして、その階梯での第一作として書き綴り、発表したのが中篇の『ハル、ハル、ハル』だとも言い切っておこう。意図したのは“生きている文章”であり、はっきりとした“世間との対決姿勢”だ。小説は世間なんぞに吸収されるものではない。小説のリアリティこそが、虚構としての世間を咬む。
■古川日出男の本たち
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