タイトル通り、格差社会の問題点を難しいイ専門用語を使わずに丁寧に検証してある。様々なデータを駆使して、いかに日本が税制面で弱者に厳しく強者有利になっているかを指摘して、これらが格差社会の原因となっており、これらを是正して北欧・ヨーロッパ型の福祉国家を目指すべきだと主張している。その方向性の是非は別だとしても、格差社会を考える上での基礎知識を得るためには最適な入門書だと思う。
日本の税の負担率は国際的に見ても最低レベルにあります。同様に、社会保障給付の面で見ても、やはり先進国の中では最低のレベルとなっています。
(中略)
日本社会では、一般的に、次のような認識が広く存在しています。日本は税金が高く、社会保険料も高い。にもかかわらず、国民への社会保障の還元は非常に少ないという認識です。いまも見たように、社会保障の還元が最低レベルであることは、統計と合致しています。しかし先述したように、税と社会保障の負担率は、実際には、国際的に見ても低いのです。
先述したように、国際的に見ても、日本は現在、すでに「小さい政府」を実現させています。社会保障制度、あるいはセーフティネットについては、北欧諸国などとは比較にならず、ヨーロッパ諸国と比べても、非福祉国家の典型としてそのレベルは劣っています。にもかかわらず、今後もますます「小さい政府」を目指し、社会保障制度の規模を縮小する政策を採り続けようとしているのです。
(中略)
格差をめぐって議論が起きると、格差拡大を是認する人々は、おおよそ次のような主張をします。貧富の格差が広がっても、しっかりとしたセーフティーネットを確立させて、敗者、貧困者を救えばよい。したがって、セーフティーネットの確保というものがある限りにおいては、ある程度貧富の格差が大きくなってもかまわないという主張です。しかし、実際には、そうした主張とは、まったく逆の状況が進行しているのです。
