第137回芥川賞受賞作。第50回群像新人賞受賞作。「ポンパ!」「ホエミャウ!」などと意味不明の言葉を叫ぶ叔父についての小説を書こうとする主人公が、その草稿や叔父の日記などと並べてそれを作品としてしまおうする小説。タイトルの「アサッテ」というのは、「あいつはアサッテの方向を向いてるな」などと使うときの「アサッテ」だ。普通の人とは少しピントがずれている時に使う。もちろんこれは謎の言葉を発する叔父のことを指しているが、こうして小説とは呼べないメタ小説的な作品も「アサッテの小説」のようなもので、ちょっと首をひねりながら読んだが、そういう楽しみ方をする小説なのだと思う。
よく理解できて共感が持てるような人は「アサッテの人」のわけもなく、「ポンパ!」と叫ぶ叔父も、それを紹介する主人公にも最終的にはついていけない。怪訝に眉をひそめつつも、たまに苦笑してみたり、分かったような気になってみたものの肩透かしをくらったりして、僕に取っては見事なまでに「アサッテの人」だった。「アサッテの人」を描いた「アサッテの小説」を楽しめるのは「アサッテの読者」になるしかないだろう。ただし、あまり入り込みすぎると日常生活のなかで「ポンパ!」と叫びたくなるので注意が必要だ。
