第13回電撃大賞受賞作。久しぶりにライトノベルに挑戦。なんだか評判が良いようで、帯にある「白状します。泣きました。奇をてらわないまっすぐさに負けました。」という有川浩の文句につられて読んでみた。表紙がアニメ絵ではなく、挿絵も無いというのも、ライトノベルが苦手な僕には入りやすい。
これは、死にたがりやのミミズクと人間嫌いの夜の王の物語。奴隷という境遇で悲惨な環境で精神を保つため物事を深く考えず鈍感になることで生き延びてきたミミズク。人間を嫌い、美しい森の夜の世界に生きる魔物の王。ミミズクは森のなかで出会った魔物の王に大きな声で言う。「ねーねー綺麗なおにぃさあん」「あたしのこと、食べてくれませんかぁ……!?」
威厳ある国王や心優しい騎士、有能で愚鈍な魔術師、塔の上で幽閉されているかのような生活を送る王子。パターンに嵌った登場人物たちというのはライトノベルと民話も近いものがある。文体もライトノベルトと民話が混じったような雰囲気なので、読どちらかというと民話や童話に近い。
物語は有川浩が言うように、奇をてらった部分はなく、読者が予想できる範囲で進んでゆく。展開が読めるというのはマイナス要素のようだが、この本を読んでいるかぎりはそんなことはない。これから起こるであろう不幸が先に分かることで悲しみは深くなり、喜びは倍となる。これはストーリー展開で物語を読ませるのではなく、登場人物の魅力で読ませているからだろう。死にたがりやのミミズクと人間嫌いの夜の王。ライトノベルの読者だけでなく、もっと多くの人に読んで欲しい物語だ。
★★★★★
