本屋大賞2007ノミネート作品。
さすが宮部みゆきは格が違うなというミステリー小説。日常にあるような小さな事件から始まり、日常にあるような様々な問題がいくつも絡み合って、やがて大事件へと発展してゆく。伏線を張り巡らせて物語を盛り上げていく構成。感情移入しやすい等身大の主人公と親近感を持てる登場人物たち。社会派のネタを織り込みつつも、事件を社会問題として処理せずに、一人の人間の問題として見つめ直し、生きていくことについて考えさせる。
僕は宮部みゆきの社会派の部分が苦手であまり読んでこなかったが、この本は人間について描くことに力を入れていたので最後まで面白かった。エンターテイメントとして十分に楽しめた上に、読み応えのある読後感。軽すぎず、重すぎず、小説を読んだという満足感を味わえる。まだノミネート作品を全部読んではいないが、若手作家が多いなかで、この安定感は群を抜いていそうだ。宮部みゆきに本屋大賞というのは、ちょっと無さそうな気がするが、読んでもらった人の満足度を平均したら本書が一番高そうな気がする。やっぱり、宮部みゆきは偉大です。
★★★★★
■『名もなき毒』の前のお話。
『名もなき毒』のなかでも少し話題にされている、ひき逃げ事件について書かれたのが『誰か』です。もちろん『名もなき毒』は単体でも十分に楽しめる物語になってますので。

