本屋大賞2007ノミネート作品。
中学校入学に合わせて、芦屋の洋館に住む従妹の家に一年間、お世話になることになった朋子。自分を家族のように迎えてくれた従妹一家の暖かさ。ハンサムな叔父、美しくてかよわく、夢見がちで本を愛する従妹のミーナと過ごした夢のような生活が回想として語られる。広い庭には池があってカバを飼っている。ちなみに単行本のカバーを外すとカバがたくさんいる。
お金持ち一家だが物語に派手さはない。中学生の女の子が経験するであろう年上の男性への淡い恋心、テレビでみるスポーツ選手へ憧れなどに多くのページがついやされ、これを30過ぎの男性が読むのがどうかと思いつつも、読んでいると驚くほど面白い。展開で読ませるのではなく、物語の世界の魅力に引き込まれる。
家族それぞれが何かしらの心の隅に不安や苦悩を抱えながら生活している。だがそれはマイナス要素というわけではなく、そういうものがあるからこそ人として人生を歩んでいる実感のようなものが生まれ、全てが調和してこそ生まれる幸福感に繋がっていく。こんなに読んでいて気持ちのいい小説は久しぶりだった。
寺田順三氏のカラー挿画が10数ページごとにあるというのも豪華だ。少しノスタルジック、かつ幻想的な物語の雰囲気が挿画によって倍増されている。
★★★★★
■『ミーナの行進』が好きな人にお勧めの少女小説たち
赤毛のアン若草物語あしながおじさん秘密の花園マンスフィールド短編集生き生きとした等身大の少女たちが活躍する『赤毛のアン』『若草物語』は間違いなく楽しめます。ハンサムな叔父は『あしながおじさん』に近いです。
特に『ミーナの行進』が好きな人にお勧めなのが『マンスフィールド短編集』に収録されている「園遊会」です。本書のなかで朋子がミーナに頼まれて図書館で借りたものです。僕はたまたま半年ほど前に古本屋で買って読みましたが、「園遊会」の主人公のローラも上流階級の少女で、その繊細で純粋な心はミーナに通じるところがあると思いました。
