明日から学校は夏休み。隣の中学校の終業式が行われていた。体育館に全校生徒が集められ、校長先生のお話を長々と拝聴させられている。中学校の隣に住んでいる僕のところまで聞こえてくる。
「……たとえ13才でも、悪いことをしたら捕まります。今の時代は子供だからといって許してはもらえません。そういった厳しい時代に、あなた達は中学生として生きていることを、理解し、節度ある行動をとるようにしなければなりません……」
夏休み前ということだろう、いつになく気合の入っているような校長先生のお話。凶悪犯罪の低年齢化のため、中学校の校長先生のお話も僕の頃とは少し違っている気がする。といっても中学校の校長先生のお話など何ひとつ覚えていないのだが。
それにしても話が長い。30分は話しているのではなかろうか。遅番なので午前中は眠っていたいのだが、こうやかましくては。校長先生の声は風に乗って途切れながら聞こえてくる。布団のなかでゴロゴロしていると、「万引き」という言葉がでてきた。僕は布団から這いずり出てベランダへ。校長先生の話に耳を傾ける。
「……万引きは、万引きというから軽く聞こえますが、立派な窃盗。犯罪です。今の時代、万引きぐらいといって見逃してくれる人は誰もいません。中学生でも必ず警察に被害届がでます。これが何度もつづけば家庭裁判所へと行くことになり、いずれ少年院へと送られます……」
万引きを注意してくれるのはありがたいのだが、警察沙汰になるから止めましょうではなく、物を盗むということがいかに悪いことであるか話して欲しい。確かに抑止力も大事なのだが、これでは店内で子供が騒いでいたら「店員さんに怒られるから止めなさい!」という母親と同じような論理に聞こえる。
やがて終業式も終わり、大掃除が始まる。だらだらと歩いて掃除道具を取りにいく中学生たち。中庭では竹箒を振り回す男子やら、話に夢中で手が止まっている女子たちの姿がある。変わらないな、と思う。