『沖で待つ』絲山秋子/文芸春秋社 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

絲山 秋子
沖で待つ
芥川賞受賞作。同期で入社した女性と男性の友情がテーマ。

微妙な関係を描かせたら随一の絲山さん。職場の同期入社の同僚だからこそ成立する、男と女の友情を描いている。

仕事内容に関する細かい部分や、働いている雰囲気のリアリティは、著者の絲山さんが実際に総合職として仕事をしていたからこそ描けた部分が大きいのだろう。そうして職場で一生懸命に机を並べて働いている姿が伝わってくるからこそ、男女の同僚として気心のしれた友情というものに説得力が生れている。

今まで絲山さんの小説は重いものばかり読んでいたが、これくらい読みやすいものの方が面白く、芥川賞を受賞しただけあって完成度の高い内容。微妙な人間関係を描くのが上手いなと改めて思う。微妙といっても揺れ動く人間関係といったものではなく、絶妙なバランスの上で成立している独特な人間関係。

だがどちらかというと、絲山さんの小説を読むなら、やっぱり鋭く攻撃的なほうが好みだ。また気になるタイトルがあれば読んでいきたい。