『という、はなし』文・吉田篤弘・絵・フジモトマサル/筑摩書房 | 砂場

砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

吉田 篤弘, フジモト マサル
という、はなし


吉田篤弘ファンなら読んでおきたい。フジモトマサルファンなら手元に置いておきたい。という、本。

まず、フジモトマサルがイラストを書く。テーマは「読書の情景」。

動物たちが、様々な場所で、様々な状況で本を読んでいる。夜行列車の座席に座って本を読む黒猫。病室のベッドで点滴を打たれながら読書するレッサーパンダ。屋根の上に座って本を広げながら空を見上げるシロクマ、などなど。

そんなイラストに合わせて吉田篤弘が短い文章を書く。

文章に合わせて絵が描かれたのではないのにもかかわらず、絵の雰囲気と見事に重なる世界。読書にまつわるエッセイのようなものがあり、物語風なものもある。天使が地上の書物をみて首をひねったり、屋外アンテナ氏と話をしたりもする。

本が好きというよりは読書が好き。何を読むかも大事だけど、いつどこで読むかということも大切にする人。そんな人はぜひ読んで欲しい。

くすりと笑って少し心に沁みてくる、気軽に読めてじっくり楽しめる24のイラストと24の話。どれが一番好きかなと、パラパラとめくっていく。「背中合わせ」はかっこいいし、「寝静まったあとに」も好きだ。「何ひとつ変らない空」の余韻もたまらない。だが余韻なら「居残り目録」も捨てがたい。ああ、「眠くない」を忘れていた。ページをめくって、また戻り。結局、どれとも決められず何度も読み返してしまって時間ばかりが過ぎていく。そんな風に本を読んでいる自分の姿が25番目の読書の情景というのはどうだろう。と、そんなくだらない事を考えてしまう。という、はなし。おすすめです。