全作品を解説付き紹介でまいります。
- リリー・フランキー
- 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
東京タワーが1位!本屋大賞は書店員が売りたい本ということで、すでに売れていた東京タワーはあえて外した書店員も多いだろうが(僕も外しました)、そのハンデを乗り越えての受賞。
読むと人に薦めたくなる本。読んでよかったと思える本。こんなに多くの人に愛される本はそうはない。こんな素晴らしい本が何も賞をもらっていないと考えると、今回の受賞は喜ばしいことだと思う。これで、本屋大賞をとった本は確実に面白いというイメージがつけば今後にも繋がることだし。
- 奥田 英朗
- サウス・バウンド
2位。紀伊国屋書店員が選ぶランキング「キノベス」の1位でもある。元過激派な父親に振り回される少年を描いているのだが、読みだすと止まらない面白さ。読後感は清々しく、心に届く何かがある。完成度の高さでは、これが大賞でもよかったと思ったりする。
- 伊坂 幸太郎
- 死神の精度
3位。直木賞候補にもなった連作短編集。主人公は死神。死ぬ予定の一週間前に現れ、その人物を観察する。そして「可」もしくは「見送り」と決定するのだが、死神なのでほとんどが「可」だ。風変わりで、人間の複雑な感情を理解できない死神。それ故に噛み合わない死神との会話が、生きることや死に対する様々な思いを浮き彫りにさせて気付かせてくれる。ラストの2話は超感動的。
- 東野 圭吾
- 容疑者Xの献身
4位。直木賞受賞作。昨年度のミステリー系の賞レースも制覇した前人未到の4冠小説。天才物理学者VS天才数学者という頭脳戦の読み応えもさることながら、純愛小説としてのレベルの高さがここまでの高評価に繋がっている。登場人物の心の描写を抑え、徹底して客観的に書いているがゆえに、心に突き刺さるラストシーン。ミステリーファンでない人にも読んで欲しい。
- 重松 清
- その日のまえに
5位。王様のブランチで大絶賛された、「死」をテーマにした短編集だ。最後の3編は「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」と繋がっている。生きるとは、死ぬとは、幸せとはなんなのか。そんなことが描かれた物語たち。だが、その答えはどこにも書かれていない。僕の読解力が無いから読み取れなかったのかも知れない。ただ、僕に分かるのは「昨日」があり「今日」があって「明日」があり、そのどれもがかけがえのないものだという事。
- 島本 理生
- ナラタージュ
6位。本の雑誌が選ぶ2005年上半期の1位。各誌書評でも絶賛された。先生と生徒という正統派の恋愛小説。張り詰めた雰囲気を描く文章力は見事。普通に言葉を並べているだけに見えるが、まさにナラタージュ(映画の回想シーン)のような雰囲気をかもしだしているのは才能なのだろう。恋愛小説が読みたいという人には超おすすめで、恋愛小説は苦手だという人にも薦めたくなる。
- 町田 康
- 告白
7位。主人公である熊太郎の幼少期から物語りは始まる。のちに大量殺人を犯すこととなる熊太郎は、幼少期からすでに頭の中で考えていることを上手く言葉で伝えることができない。ちょっとした会話ですら深く悩んで考えすぎたすえ、いざ声にだしてみると、思っていることとまったく違う意味の言葉が飛び出してくる。そんな風なので大人になるにつれ人間関係は複雑さを増し、回りとの溝は深くなってゆくだけだ。お陰で村内の人間関係は捩れて拗れ、よかれと思ってした行動は全て裏目にでて、色々な恨み辛みが積み重なり、それが爆発した「河内十人斬り」。笑えるけど笑えない小説。町田康ワールド炸裂。
- 古川 日出男
- ベルカ、吠えないのか?
8位。アリューシャン列島に残された4頭の軍用犬から始まった、その子孫たちの物語。飼い主が変わり、世代が変わり、国家が変わる。うぉん。飼い主に翻弄され、自然に翻弄され、歴史に翻弄される犬たち。これは犬の視点からみた、第二次世界大戦以後の世界史。
この物語から何を読み取るのかは、それぞれ人によって違うのだろう。著者が物語を通して言いたかった事や、これらが帰結する安易な答えなどは提示されていない。僕がこの11冊のなかで最も再読したいのは、この本だ。うぉん!
- 桂 望実
- 県庁の星
9位。映画化話題作。この本は、ひと言で言うと伊丹十三監督映画「スーパーの女」だ。続編映画で「スーパーの女2 県庁さんがやってきた」と言われても、誰も違和感を覚えないだろう。目新しさはないが、ストーリー展開は申し分の無い「スーパーの女」を踏襲しているだけあって、読み物として十分に楽しめる。序盤は両者のダメな面ばかりがでて、読んでいてイライラするが、後半はしっかりと盛り上がっていた。同じ接客業&小売業をしている僕としても、こうして売り場が甦るすがたは読んでいて胸のすく思いだった。
- 西 加奈子
- さくら
10位。小説好きの人はちょっと抵抗あるような浅い内容だが、一話完結ドラマのノベライズだと思えば、それほど違和感もない。帯に推薦文を書いている脚本家の岡田恵和さんもそのあたりを評価したのだろうと、勝手に解釈しておく。家族の自殺や同性愛、父親の失踪、過食症などなど沢山の深いテーマが描かれて、盛りだくさんな内容だ。
- 伊坂 幸太郎
- 魔王
11位。この11作品のなかで僕が一番好きな『魔王』が最下位というのは、いかがなものか。