- 西条 奈加
- 金春屋ゴメス
第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
少しだけ未来の日本。北関東から東北にかけた土地に江戸の町並みががつくられる。次第に規模を大きくなる江戸。そして、完璧なまでに19世紀初頭の江戸が再現された江戸は「江戸国」として独立と鎖国を宣言。日本政府はそれを了承し、人口700万人の江戸国は日本の属領という形で認められる。
そして、300倍の抽選で選ばれたのは(江戸国への入国は抽選で選ばれる)主人公である大学生と海外旅行マニアの女性と脱サラした時代劇オタクの若者たちの物語が始まる。
主人公の身請け人となっているのがタイトルにもなっている「金春屋ゴメス」と呼ばれる長崎奉行。これが強烈なキャラクター。巨漢の持ち主で(座る姿は大きな鏡餅)、子分たち事あるごとに殴られて、庭まで吹っ飛ぶ。極悪非道の乱暴者だが頭脳明晰で、その博学と推理力・洞察力は天才的といっていだろう。
この金春屋ゴメスの指示で致死率100%の疫病「鬼赤痢」の謎を追うことになるのだが、ここで江戸国と日本国の複雑な設定が絡んでくる。捕物帖とミステリーを違和感なく融合させた、まさに新感覚時代ミステリー。読み終えたとき、この江戸国と金春屋ゴメスのことが好きになっている自分に気づいた。