『怒る楽しみ』ラッセル・ベイカー/河出文庫 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

ラッセル ベイカー, Russell Baker, 新庄 哲夫
怒る楽しみ―ベスト・コラム46

ニューヨークタイムズのトップ・コラムニストだったラッセル・ベイカーのコラム傑作選。


都会の憂鬱や不機嫌、現代社会の抑鬱された閉塞感を、寓話的な風刺や皮肉によって料理する。切り口も面白いが、架空の物語で現実を風刺する技法はコラムというよりも小説のようだ。


ニューヨークで駱駝を飼う「駱駝犬」、車内の貼紙に対抗して自分も貼紙を持ってタクシーに乗る「軍隊式タクシー」、知らない人と結婚して顔を会わすこともない近未来を描いた「ハイテク結婚」、国が注文した戦車が手続きミスで自宅に配達されてきた「戦車も通信販売いたします」、経済効率を上げるため日本人のコラムニストを輸入する「日米コラム摩擦」などなど。


これはコラム集というより、ショートショート集だと思って僕は読んでしまった。どちらの意味でも読めるというのは凄い。コラムとして時事問題、社会問題に対する主張があり、なおかつ物語として読ませる構成ができている。


僕が猫派なので「猫も小判」というコラムは面白かった。主人公は『猫を使ってナチスを捕まえる方法』という本を買ってきて、飼猫を訓練するというと描写がある。鉤十字をみたら飛びかかる訓練を裏庭でしていたら、叔母に見つかって怒られるという馬鹿馬鹿しさがなんともいえない。