閉店間近の22時過ぎ。僕の勤める書店の電話が鳴る。
20代前半、男性の声。
「お電話ありがとうございます。○○書店でございます」
「ちょっと、聞きたいことがあんねんけど」
「はい、なんでしょうか」
「手紙に貼る切手って80円やろ?」
「・・・・・・・・・・・・そうですね。封書はそんなものかと」
「そうやんなあ。で、速達っていくらなんや?」
「ちょっと・・・それは・・・そういうのは郵便局に聞いていただいたほうが」
「そうやねんけどな。もう閉まってるんやんかあ」
「まあ、そうですねえ」
「明日までまたれへんねん。今知りたいねん。いくらなん?」
「・・・うーん・・・確か梅田の郵便局は一晩中開いてるはずですよ」
「あ、そうなん?電話番号分かる?」
「ちょっといますぐには・・・、番号案内で聞いていただくほうが速いかと」
「そうか、ありがとう」
謎だ。手紙を出さないと→切手は80円→でも急ぐから速達で→速達代が分からない→郵便局は閉まっている→そうだ、書店に電話で聞こう。最後のあたりで、驚異的な飛躍があると思うのだが。
だが、こうして書いてみると「切手は80円やろ?」という簡単な質問に答えさせて、そのままなし崩しに会話に持ち込むという技が使われていることに気づいた。あそこで普通に返事をした時点で僕は負けていたのか・・・。