『おがたQ、という女』藤谷治/小学館 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

藤谷 治
おがたQ、という女


あれから長い年月を経た今も、おがたQはひとつの暗い謎である。
おがたQの行方はようとして知れない。最後に彼女と言葉を交わした海野鉄夫にも、彼女がそれから何処へ行ったのかは見当もつかなかった。警察が足取りを掴んだ後でも、彼にはおがたQがどうしてそんな所へわざわざ赴いたのか、本当の理由は判らなかった。(本文冒頭より)


池田進吾(67)の装丁なので半分は装丁買いで、もう半分はタイトル買いだ。物語は「おがたQ」と名乗る女性について書かれている。本書では「おがたQ」がどのような境遇で、何を考え、なぜ「おがたQ」なのか、そしてどのような人生を歩んでいたがが説明されている。饒舌な文章は適度な重さがあり読み心地がよく、ほとんど一気に読破した。


で、おがたQという女はいったい何ものだったのだろうか。読んでいる間は、おがたQの感情などもきっちりと描写してあるので、おがたQについて理解した気でいたが、こうして読み終えてみると、さっぱり分からない。帯にあった「ネガティブ・シンデレラ・ストーリー」の意味は分かった。確かにシンデレラ・ストーリーだが、おがたQの感情がネガティブという分けだ。でも、それが本書のテーマかというとまったく違う。……夜中に目が覚めた自分が漠然とおがたQのことを考えているのに気づいた。こんなにも頭の片隅にひっかかる物語も珍しい。


余談

そして本書を読み終えたあと、ふらりと立ち寄った古本屋で、相方が得意げに367円の値札の貼られた「おがたQ、という女」を持ってきた。これは古本屋には無いだろうと新刊で買ったのに、なんてことだ。おがたQはひとつの暗い謎である。



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