- 湯本 香樹実
- 夏の庭―The Friends
書評を書くのが遅れてしまって、見事に季節外れ。でも、読み始めるのは夏がいいけど、読み終わるのは秋がいい。そんな本だ。
日本版スダンドバイミーと呼ばれる本書。新潮夏の100冊でここ数年ではもっとも売れている。昨年度に新潮社が実施した人気投票でも新潮文庫の第3位にランクイン(ちなみに1位は『西の魔女が死んだ』、2位が『きらきらひかる』)。今や定番。
卒業を前にした小学生最後の夏休み。仲良し3人組は「死んだ人をみてみたい」という不謹慎極まる動機から、町外れの老人を観察することに決める。ひとり暮らしで生ける屍のようだった老人。塀の隙間から覗き見する毎日だったが、いつしか老人は子供たちに気づき、そこから生まれていく交流。
好奇心一杯に生きていた子供たちは色々なことを学びながら、いつしか死という存在に気づく。それは自分達が生きていることに気づくのと同じこと。永遠に終わらないように思えた長かった小学生時代。だが、それも終わりが近づいてくる。幼稚園や保育園ではただ同級生や先生と別れるのが悲しかっただけの卒業だが、小学校は少し違う。新たに始まる中学生活は将来の大人に向けての第一歩だった。などと下らないことを考えてしまうのは僕も年をとったからだろう。主人公である少年達ではなく、どちらかというとお爺さん目線で物語を読んでいることに気づく。
誰かの「子供は未来に無限の可能性を持っている。ただそれだけで素晴らしい」と言った言葉を、最近はよく思い出すようになった。